新しい働き方の地図の本

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いまや、働く場所は限定されない時代だといえるでしょう。毎朝、通勤列車に乗って会社へ行く時代は古いと言われて久しいです。ですが、いまだに日本は大都市の一極集中があり、正社員信仰も根強くあります。果たして本当にそうなのか。米田智彦による『いきたい場所で生きる 僕らの時代の移住地図』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)では、新しい時代の労働感を示しています。

事例インタビュー

本書で圧巻なのは、具体的に移住を行った人、33人に対するインタビューをもとに原稿を執筆している点でしょう。著者の主観ばかりでなく、移住した人それぞれの言葉をすくいあげているのです。移住先はどこかといえば、国内は北海道の札幌、宮城県の気仙沼、千葉県の南房総市、沖縄県の那覇市といった全国各地です。さらに海外においても、マレーシアのクアラルンプール、カンボジアのプノンペン、といったアジアの都市から、オランダのデンハーグ、ロッテルダム、スウェーデンのストックホルムといったヨーロッパの都市までさまざまです。

移住バンザイの本ではない

本書は、移住が正しい、と主張するような本ではありません。それでも移住に関するリスクやデメリットはかつてにくらべれば格段に少なくなっています。例えば、パソコン一台あれば、どこでも仕事ができるリモートワーク、ノマドワークは、すでに世の中に浸透して久しいです。さらに、LCCをはじめとする格安航空券が普及したことにより、都心と地方を往復する交通費も格段におさえられるようになりました。完全に移住をするのではなく、月の半分ずつを都心と地方で過ごすといった二拠点生活も不可能ではありません。さらに労働時間そのものを減らしてゆく、ワークシェアリングの考え方も根付くようになりました。地方ならば当然物価や生活費がおさえられるわけですから、月に稼がなければいけない金額も少なくて済みます。

キーパーソンとの収録

さらに本書には、高知へ移住したブロガーのイケダハヤト、仕事づくりレーベル「ナリワイ」代表である伊藤洋志、鹿児島県長島町副町長の井上貴至、「Next Commons Lab」発起人、土佐山アカデミー」共同設立者である林篤志と著者の対談も収録されています。新しい時代のありかたを本書で感じ取ってはいかがでしょうか。