訪花するマルハナバチ。ロシア・モスクワで(2016年8月16日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】マルハナバチは、甘いご褒美を与えて促すことで、ボールを転がしてゴールに入れるよう訓練できるとの研究結果が23日、発表された。昆虫が予想外に複雑な学習能力を持つことを示す結果だという。

 米科学誌サイエンス(Science)に発表された研究結果は、ハナバチが、通常行っている花粉の採集作業とは直接関係のない技能を習得可能であることを示す初の証拠を提供している。

 研究によると、他のハチの行動を観察することで、マルハナバチの学習効率は最も高まるようにみられ、また時には、他のハチが先に実施した行動を改良するケースもあったという。

 目標を達成することによって複雑な問題の解決方法を学習する能力については、これまで、ヒト、霊長類、海洋哺乳類、鳥類などが持ち得る能力として知られていた。だが、昆虫は必ずしもこのエリート集団に属するとみなされているわけではかった。

 論文の共同執筆者で、英ロンドン大学クイーンメアリー校化学・生物科学科(School of Biological and Chemical Sciences at Queen Mary University of London)のLars Chittka教授は、「昆虫は脳が小さいことで制約を受け、行動に関しての限られた柔軟性と単純な学習能力しか持ち得ないとする考え方は、今回の研究によって終止符が打たれる」と述べた。

 過去の研究では、ご褒美の餌を得るために糸を引き寄せるなど、ハチが簡単な技を学習できることが示されていた。ただ、これらの研究については、関連する学習プロセスが、自然界でハチが遭遇する作業課題において、実際に使用されることも想定できるため、その対象範囲は限定されていると論文は指摘する。

■環境圧と関連か

 今回の研究では、ハチが日常生活で見たこともないような物体(今回のケースでは小さな、黄色のボール)を自在に動かすことを学習できるかどうかを調査した。

 ハチは1匹ずつ、自らとほぼ同等の大きさのボールを転がすよう訓練されたボールは特定のゴールに向けて押し転がす必要があり、ボールがそのゴールに入ると、ご褒美の砂糖水がハチに与えられた。

 第1グループのハチは、この技をすでに学習済みのハチを観察させることで訓練した。第2グループでは、ハチから見えないよう実験台の下から磁石でボールをゴールまで動かし、その様子を観察させた。第3グループのハチは、何も見せずに行わせた。

 実験の結果、ハチは他のハチを観察することを通じて、最も高い学習効果を得ることが分かった。

 また時には、ゴールから遠く離れたボールを選んで運んでいた「コーチ役」のハチの行動とは違い、すでにゴール近くにあるボールを選ぶなど、ご褒美を得るためのより良い方法を自ら見つけ出すこともあった。

 論文の主執筆者の一人、オリ・ロウコラ(Olli Loukola)氏は「観察者のハチは、コーチ役による手本とは違ったやり方で課題を解決した。これは、見たことを単に再現したのではなく、それを改良したことを示唆している」と説明し、驚くべき認識の柔軟性を示していると指摘した。

「マルハナバチや他の多くの動物には、このような複雑な課題を解決するための認識能力が備わっているものの、そうした行動を余儀なくされる環境圧がかからなければ、それが発揮されないのかもしれない」と、ルコラ氏は話した。
【翻訳編集】AFPBB News