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●好調のファーウェイ
ファーウェイが新たなスマートフォンブランド「novaシリーズ」を日本で展開する。novaのターゲットはMVNO市場で取り込みの難しい"若い女性"であり、売れ行き好調なPシリーズの勢いに乗って、どれだけ販売を伸ばせるのかが注目される。

○存在感を増した2016年

スマートフォン市場でファーウェイの存在感が一気に増したのは2016年だ。同年6月にライフスタイルの充実を望む20代から40代までをターゲットとしたPシリーズの最新機種「P9」「P9 lite」を日本市場に投入。12月にはビジネスパーソンを想定した最新機種「Mate 9」を出した。

特にPシリーズの売れ行きが良好で、2016年のSIMフリースマートフォンの販売額で1位の座を獲得。12月単月のスマートフォン販売台数では、アップル、ソニーモバイルコミュニケーションズに続く3位となった。

2016年の販売額は、ファーウェイが比較的単価の高い製品を揃えていること、12月単月のランキングは、同月にMate 9が発売されていることから、いずれも多少割り引いて見る必要もあるが、それを考慮しても、2016年はファーウェイにとって躍進の年だったことに違いはない。

●ファーウェイが重視していること
○ファーウェイ躍進の理由

日本で成功した要因はどこにあったのか。その要因について、ファーウェイ・ジャパンの呉波代表は「ミドル・ハイエンドスマートフォン」というキーワードを挙げる。SIMフリースマホは、1万円〜2万円程度までの低価格、スペックは控えめだがそこそこ使えるモデルが多い。しかし、ファーウェイは「ミドル・ハイエンド」という位置で勝負してきた。

P9、Mate 9の機能は比較的高く、その分、市場想定価格も高い(P9が税別50,800円、Mate 9が同60,800円)が、ライカと共同開発したデュアルレンズを搭載するなど、他社製品と明確に異なるメッセージ性も備えている。P9の廉価モデルとなるP9 liteは税別25,800円と手が出しやすく、ネットではコストパフォーマンスに優れたコスパスマホとして人気を得ているようだ。このあたりの価格の商品群がミドル・ハイエンドという位置づけになるだろう。

成功の要因はこれだけではない。興味深いのは、ファーウェイが各種ランキング上位に顔を出すまで、テレビコマーシャルをはじめとした大型広告に頼らずにきたことだ。力を入れてきたのはNPS(Net Promoter Score)である。

NPSとは企業ブランドに対する愛着や信頼感を指数化したもの。ファーウェイではこの指数の向上を最重要課題と捉えている。呉氏は「一番大事なのは、ファーウェイ端末を買った人を絶対に満足させること。購入端末を使いやすいと思ったとき、買った人が周囲に勧めてくれる。こうしたブランド戦略は時間がかかるが、一番、着実だと思う」とかつて語っている。その考えは変わらず、今回の発表会でも引き合いに出し「日本市場におけるNPSは非常に満足している」(同氏)と話す。

●MVNOの鬼門をブレークできるか
○新ブランドはセルフィーに特化

そんなファーウェイが新たに展開するのが新ブランド「novaシリーズ」だ。もともとは2016年9月にドイツで開催されたIFA 2016で発表され、半年遅れで日本上陸となるブランドだ。自撮り機能、それに伴う美顔撮影機能を充実させたブランドで「HUAWEI nova」とその普及モデルの「HUAWEI nova lite」の2機種を2月24日に発売した。

novaシリーズのターゲットとなるのは若い女性。発表会では、18歳から24歳までのセルフィー世代は、撮影する写真の3分の1が自撮り写真と例を挙げており、このあたりがコアターゲットと見られる。市場想定販売価格も「HUAWEI nova」が税別37,980円(nova liteはMVNOによる)とP9やMate 9に比べると手の出しやすい価格設定だ。

○新ブランドのターゲットはMVNOの鬼門

ただし、novaのターゲットはMVNO市場の鬼門でもある。MVNO市場を牽引してきたのは40代の男性であり、novaが狙う10代から20代、とりわけ女性についてはまだユーザーが少ないのが現実だ。そもそも10代から20代前半にかけては男女を問わずに、大手携帯キャリアが学割などでがっちりと固めている(正確には料金を支払う親を捕らえている)。

ファーウェイは、Pシリーズ、Mateシリーズ、そして今回のnovaシリーズを主力三大ブランドとして位置づけており、これまで若年層が少なかったとしてnovaシリーズで脇を固めていきたい考えだ。NPSを指標として口コミ効果でうまくユーザーを取り込んできたという同社の作戦が、今回のも狙いどおりにいくのだろうか。勢いに乗るスマホメーカーの挑戦に注目したい。

(大澤昌弘)