ペットの養育費は請求できる?(Ph:Thinkstock/Getty Images)

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 離婚するにあたって大きな問題となるのが親権。では、夫婦で飼っていたペットはどうなるのだろうか? 栃木県の女性からこんなお悩みが届いた。

「離婚することになりました。子供はいませんが、結婚後に飼い始めたパグをどちらが引き取るかで、夫ともめています。私が引き取るにはどうしたらいいですか? また、養育費はもらえるのでしょうか?」(栃木県・CAN、38才・会社員)

  このお悩みに対し、ペットに関する事件・トラブルなども取り扱う、ペット法学会理事の弁護士・杉村亜紀子さんがアドバイスをする。

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 夫婦にとって、ペットは子供同然。しかし日本の法律上、動物は現金や商品と同じ“物”として扱われます。

 そのため、未成年の子供であれば、離婚時に親権者を決めますが、ペットに“親権”という概念はなく、ペットという財産をどちらが得るか、財産分与の問題になります。

◆結婚後に飼い始めたらペットは夫婦の共有財産

 財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分け合うこと。基本的には半分ずつです。どちらか一方の名義であっても、原則としてそれは相手との協力により築いたとされ、夫婦共有財産として離婚時に分けなければいけません。

 もし妻が結婚前から飼っていた犬であれば夫婦の財産でなく“特有財産”となり、夫に譲る必要はありませんが、今回の事例は、婚姻中に飼い始めた犬なので、基本的には“夫婦共有財産”となります。

 お金なら半分に分けられますが、ペットはそうはいきません。この場合、どちらが引き取るか話し合いで決めます。もし話し合いで決まらない場合は、裁判所の調停や審判で決めることになります。

 その場合、恐らく裁判所では、登録がどちらになっているかだけでなく、どちらが主に世話をしていたか、今後どのように世話をしていけるのかなど、緒々の事情を総合的に判断して決めることになると思われます。

◆ペットの養育費を求めることはできない

 子供の親権者となった場合、相手に養育費を求められます。しかし、ペットの場合、権利を得ても引き取ったペットの養育費を相手に請求できません。物の維持費は所有者が負担すべきと考えられています。

 また子供の場合は、別居親が子供に会う“面会交流”ができますが、ペットについてはそのような定めはありません。そのため、ペットを引き取った相手に面会交流を強制することはできません。

 しかし、自分たちで合意して決めるのは自由です。“ペットを譲る代わりに月1回は会わせてほしい”、“ペットを育てるのに必要な費用はすべて自分が払うので、自分に譲ってほしい”などの交渉をすることは可能です。

 いずれの場合にも、約束をした際には、後でトラブルにならないよう、合意内容を書面にして残しておきましょう。

※女性セブン2017年3月9日号