アマゾン「AIにも言論の自由」主張 殺人事件の捜査協力を拒否

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アマゾンは殺人事件の証拠として米検察当局が、音声操作スピーカー「アマゾン・エコー(Amazon Echo)」内の音声データの提出を求めている件で、「言論や表現の自由にからむ問題であり、捜査令状は無効だ」との申し立てを行った。

この件が最初に明るみに出たのは昨年12月のこと。2015年11月にアーカンソー州で発生した殺人事件の捜査で、当局はアマゾンに対し「事件の証拠が残されている可能性がある」として、被害者の自宅にあったアマゾン・エコー内の48時間分の音声データの提出を求めていた。

アマゾンは購入者情報や購入履歴は開示したものの、先週後半に提出された90ページに及ぶ申し立て書の中で、「音声データは言論の自由の下に保護される対象であり、捜査令状は無効だ」とした。

アマゾン・エコーにはAI(人工知能)を用いたパーソナルアシスタント「Alexa」が搭載されており、アップルのSiriと類似した形でユーザーはAlexaに話しかけることでニュースや天気情報を入手したり、様々なサービスの利用が可能だ。今回のアマゾンの申し立ては、エコー内に残されたユーザーの声や室内の音声だけでなく、Alexaの反応も「言論の自由で保護されるべき対象だ」と述べている。

アマゾンの弁護団は「表現や言論の自由の法の精神のもとで、表現物の閲覧や購入行為は、政府の監視の目を恐れず匿名で行われるべきだ」と述べた。「Alexaの反応には、利用者の求めに応じて再生されるポッドキャストやオーディオブック、音楽を含んでいる。また、Alexaの反応そのものが言論の自由の保護対象だ」と弁護団は述べている。

弁護団は過去のグーグルに対する判例を引用し「Alexaがユーザーに返す答はグーグルの検索結果と同様に、憲法で保証された言論の自由の保護対象であり、憲法により完全に保護される」と述べた。

アマゾンはまた、当局に対し説得力のある法的根拠の提示も求めている。「このような政府の要請は、利用者の自由な情報取得や自宅でのプライバシーを侵害するものだ」とアマゾンは主張している。

また、今回の申し立てで興味深いのは、政府は容疑者のネクサス端末内のデータを捜索しようとしたが、端末がロックされており不可能だったという点だ。アマゾンによると仮に容疑者がAlexaのアプリをインストールしており、当局が端末データの読み取りに成功していた場合、「Alexa内の音声データは全て捜査陣の手に渡っていた」という。

フォーブスはこの件でアマゾンにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。広報担当者はAP通信の取材に「アマゾンは法的拘束力のある申し立てがされない限り、顧客の情報を開示することはない。アマゾンは当局の広範囲すぎる法解釈や不適正な要求には反対する」と述べた。