ボーイング787の主翼や胴体をはじめ、風力発電風車やゴルフクラブ、ガス圧力容器などに使われている「炭素繊維」。

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同素材は樹脂を混ぜた複合材料「CFRP」(炭素繊維強化樹脂)にして使用されるのが一般的で、軽くて強く、耐腐食性に優れています。

トヨタ自動車(以下トヨタ)のスーパースポーツ「レクサス LFA」のボディ骨格をはじめ、FCV「MIRAI」の燃料電池フレームや電極基材、高圧水素タンクなどに使用されており、最近では「86GRMN」の蓋物や、新型プリウス「PHV」のバックドアインナなどに「CFRP」を軽量化目的で大々的に採用したことでも話題になっています。

海外では、BMWがEVの「i3」やPHVの「i8」のボディ骨格に採用するなど、強度が鉄の約10倍で重量が鉄の約1/4と、アルミニウムを遥かに凌ぐ高い強度と軽量化効果が得られる「CFRP」は、燃費や航続距離を重視する次世代車にとって無くてはならない素材になりつつあります。

炭素繊維市場を先陣を切って開拓してきた東レは世界シェアの約4割を握っており、帝人、三菱レイヨンを足した日系3社で世界生産の6割超を占めるなど、日本が強い競争力を持つ先端素材。

そうしたなか、新聞報道によると東レは今後3年で炭素繊維に過去最大となる1,000億円超を投じ、自動車市場への「CFRP」部材供給体制を本格化させる計画で、2018年の稼動を目指して愛媛県松前町の敷地に国内初となるFCスタック用部材の専用生産棟を建設するそうです。

同社は2020年前後のFCV本格普及を控え、いち早く量産体制を築き、車両価格低減に寄与する考え。

また帝人も炭素繊維の自動車用途拡大を急いでいるそうで、800億円以上を投じて米CSP(ンチネンタル・ストラクチュアル・プラスチックス) を買収、同社の販路と成形技術を活用して「CFRP」を自動車業界に売り込む計画のようです。

さらに三菱レイヨンも日米で炭素繊維工場を増強、独企業から米国内の余剰設備を買い取り、2017年中に年産能力を従来比4割増の1.4万トンに引き上げる模様。

炭素繊維業界で圧倒的な存在感を誇る東レを帝人と三菱レイヨンが追い上げる構図となりそうです。

今後、「CFRP」市場は世界的な燃費・環境規制等を背景に、車体の軽量化が進むことから急速に拡大する見込みで、コスト低減が進めば高級車のみならず、普及車への採用にも弾みが付くことになりそうです。

(Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車/TORAY)

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