眠っている間に10秒以上呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)。日中のひどい眠気や集中力の低下が自覚症状だ。

 肥満が発症リスクだが、顎が引っ込んでいる人や首回りが43cm以上ある人もリスクが高い。ただしこれは“閉塞性”睡眠時無呼吸症候群(OSA)の話。

 睡眠時無呼吸症候群は大きく2種類ある。解剖学的な原因で気道が閉塞するOSAに対し、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)は脳の呼吸中枢の機能障害に起因する。

 CSAの特徴は「チェーン・ストークス呼吸」と呼ばれる周期的な呼吸を伴うこと。

 通常、呼吸は血液内の二酸化炭素濃度に反応して換気量が調節される。しかし、呼吸中枢の異常などで反応が間に合わないと、低酸素症に対して過呼吸が生じる。その結果、今度は酸素濃度が上昇し過ぎて、調節のために換気量が次第に低下し、無呼吸状態に陥る。低呼吸→過呼吸→低呼吸(無呼吸)という繰り返しは、時に30分ほども続く。同じ部屋で寝ている家族はたまったものではない。

 また、OSAが心疾患に先んじて発症するのに対し、CSAは「隠れ心不全」など心疾患に合併するケースが多い。放置すると病気が悪化するため、効果的な治療法が模索されている。

 昨年9月、米国から横隔膜を刺激して呼吸を促す「埋め込み式横隔膜ペースメーカー」の臨床試験結果が報告された。

 試験はAHI(無呼吸低呼吸指数)20以上の中等症〜重症CSA患者151人を治療群と非治療群に分け、有効性を検討。対象者の平均年齢は65歳で、男性が9割を占めた。

 その結果、治療群の半数でAHIが有意に改善し、昼間の眠気や生活の質も有意に改善することが示された。また、治療関連の有害事象は認められなかった。研究者は「睡眠時に装着する鼻マスクのような面倒がなく、新たな治療の選択肢になる」としている。

 ともあれ、家人からSASを指摘されたら「循環器疾患」の存在を疑ってみること。最近は睡眠時無呼吸外来なども増えているので、一度受診してみるといい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)