トランプに揺さぶられる米国科学界で筆者が見た、日本との違いとは?

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トランプに揺さぶられる米国科学界
筆者が現地で見た日本との違いとは?

 今年1月20日に発足した米国のトランプ政権は、発足以来、オバマケア廃止・移民に対する制約の強化など、米国内の低所得層やマイノリティの生活と存在を脅かす方針の数々を表明し続けている。影響は米国内にとどまらず、日本を含む他国の産業・外交にも及んでいる。現在進行形で、世界中がトランプ政権に揺さぶられている。社会保障・社会福祉・教育・文化・学術研究は、最も大きな揺さぶりを受けている。

 そんなさなかの2月16日〜21日、私は米国・ボストン市で開催された米国科学振興協会(正式名称は“American Association for Advancement of Science”。以下、AAAS)の年次大会に参加した。AAASをご存じない方も、科学誌『Science』の発行元と言えば納得されるかもしれない。

『Science』は、STAP細胞問題の舞台となった『Nature』、バイオ分野の『Cell』とともに、科学者なら一度は論文を載せてみたい3大トップ論文誌“CNS” (Cell、Nature、Science)の1つとして知られている。AAASは基本的に米国の科学団体であるが、現在、関連団体を含めて世界中の1000万人以上の会員と年間約100億円の予算規模を誇る、世界最大のNPOでもある。

 毎年2月に開催されるAAAS年次大会は、世界の科学の大祭典の1つだ。科学のあらゆる分野の最先端研究が、社会との関わりや、政策へどう影響をもたらすべきかと共に語り合われる。私にとっては、日本の貧困問題を「世界の課題に向き合い解決する科学」という視点から捉え直す大切な機会だ。

 貧困問題を含めて、社会の課題は、社会にとって課題であるからこそ科学の課題であり、大きなチャレンジの機会でもある。科学界がこの問題の解決に取り組むのは、当然すぎるくらい当然。これが世界の科学界の「あたりまえ」、文字通りのグローバル・スタンダードだ。

 さて、今回のAAAS年次大会は、トランプ政権が発足して1ヵ月足らずという絶妙すぎるタイミングで開催されることになった。「世界の科学界が固唾を飲んで見守る中で開催された」と言っても過言ではない。

 今回は、日本の貧困問題、特に生活保護に関する問題に関心を向け続けている本連載の読者に向けて、米国および世界の科学界が今何を思い、何を考え、何をしているのかを紹介したい。

 まず、米国社会の活力の源であり、多様性の源でもあり、貧困の拡大・固定と深く結びついている移民問題に対しては、どうだろうか。

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