映画『ラ・ラ・ランド』:あなたを虜にする魔法のような現代ミュージカル

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今年を代表する一本は、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンがヅ兄箸粒骨イ撚里辰突戮襦悒蕁Ε蕁Ε薀鵐鼻戞

最近の若者が見るミュージカルと言えば、せいぜいビヨンセが歌って踊るオールド・スクールのMVくらいで、若者ウケする長編ミュージカル映画を成功させるのは至難の業ではないだろうか。疑わしい。

21世紀現在、若干31歳の新鋭デイミアン・チャゼル(『セッション』)による傑作『ラ・ラ・ランド』は、ちょっとした衝撃である。このラブストーリーにはブロードウェイのようなイ△兇箸亨イ里けらもないし、劇中の歌や踊りはあくまで感情を表すための唯一の手段で、それ以外に感情を表現する方法がないから彼らは歌って踊るのだ。あなたはチャゼルの想像力に心踊らせ、恋人役のエマ・ストーンとライアン・ゴズリングの素晴らしいパフォーマンスに心奪われることだろう。ましてや単純なハッピー・エンドなどではなく、映画がニ睨,鮗茲衞瓩構峇廈イ剖淑海擦困砲呂い蕕譴覆い世蹐Α今年はあなたのノ豹期イ鮖遒垢茲Δ扮撚茵福Fences(原題)』『沈黙 サイレンス』『The Birth of a Nation(原題)』)、またはあなたの心に深く突き刺さるような映画(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『ムーンライト』『ラビング 愛という名前のふたり』)など、素晴らしいが重々しい空気の作品が多い。そんな中、映画『ラ・ラ・ランド』が突出している理由は、本作が映画というものへの情熱と可能性に満ち、全てのフレームが光り輝いているからに他ならない。


(C) 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate.

ぶっきらぼうな言い方をすれば、現代ハリウッドのおとぎ話は革新的とは言えないだろう。いや、しかし結論を急ぐのはよくない。エマ・ストーン演じるミア・ドーランは女優の卵で、ワーナー・ブラザースのカフェでバリスタをやりながら、いつか誰かに見出され、最近のアメコミ映画なんかではなく、今では誰も書かないような古き良き娯楽映画でスターになることを夢見ている。ライアン・ゴズリング演じる売れないジャズピアニストのセバスチャン・ワイルダーは、いつかジャズが全盛を取り戻した時、自分の好きな音楽だけを気が済むまで演奏できるジャズクラブをオープンさせることを夢見ている。そんなちょっとレトロな男女二人が、ロサンゼルスの渋滞したフリーウェイで出会い、いがみ合いながらすれ違う。

このオープニング・シーンは、まるで映画のタイムカプセルのようである。クラクションが鳴り響く。フリーウェイの渋滞にはまった若者たちは興奮し、怒鳴り合う。チャゼルのカメラは、そんなロサンゼルスの典型的な日常を映し出す。そして突然、喧騒が止む。車から飛び出した人々が、『アナザー・デイ・オブ・サン』のリズムに乗って踊り出すのだ。

この華麗なる楽曲は、チャゼルのハーバード大学時代の同級生ジャスティン・ハーウィッツによるもので、その素晴らしい歌詞はベンジ・パセックとジャスティン・ポールが手がけている(彼らは素晴らしいブロードウェイ作品『Dear Evan Hansen』で名をあげた)。このシーンは、E-Zパス(アメリカのETC)を封鎖し、ロサンゼルスのダウンタウンにつながるフリーウェイの傾斜路で撮影された。振付師のマンディ・ムーアが振付を担当し、100人以上のダンサーが参加しテイル。撮影に2日かかったというこの壮大なシーンは、今後何年も人々を陶酔させ続けるだろう。


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Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate.

やがてミアとセブは仲違いを解消すると、夢の国『ラ・ラ・ランド』でいじらしくじゃれ合い始める。ミアは、セブが作曲したジャジーでメロウな一曲『シティ・オブ・スターズ』を聴く。これは主題歌賞部門でオスカーを獲るべき一曲だ。二人はハリウッドヒルズでゆらゆらと『ア・ラヴリー・ナイト』で拍子を合わせ、互いの距離を縮めていく。セックスなんて簡単だが、グイ魄蕕討襪里脇颪靴ぁeを深めた二人は、一緒にジェームズ・ディーンの代表作『理由なき反抗』を名画座に見に行き、その後、映画に出てくるグリフィス天文台に向かう。そう、星空の下で踊るためだ。スウェーデン出身の偉大な撮影監督、リヌス・サンドグレン(『アメリカン・ハッスル』)が詩的な映像美でドラマを彩る。

しかし、二人の関係は現実に直面して徐々に崩れていく。オーディションの最中にも関わらず、スマホをいじりあくびをするキャスティング・ディレクターたちに、ミアの忍耐は限界に達していた。セブは知人のキース(ジョン・レジェンド)率いる人気ポップ・ジャズ・バンドに加入し、ツアーをこなしながら商業路線に向かっていく。ミアとセブの心が離れていくにつれ、映画は快活なハリウッドの名作ミュージカル(『雨に唄えば』『バンド・ワゴン』)から、ジャック・ドゥミのほろ苦いミュージカル『シェルブールの雨傘』の趣きへと様相を変えていく。チャゼルは自身のアイデンティティを保ちながら、それら名作の要素をうまく作品に取り込んでいる。

ストーンとゴズリングの芝居は、とにかくチ農欧蕕靴イ琉豸譴某圓る。フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのようにミュージカル全盛期に生まれたわけではないが、二人はツ彰凝イ箸盡世┐觴乃錣如▲潺△肇札屬侶擇笋なパフォーマンスを、生き生きと感動的に演じている。彼らはあなたの心を鷲掴みにするだろう。

『きみに読む物語』『ラースと、その彼女』『ブルーバレンタイン』『ドライヴ』など、多様な作品でさまざまな表情を見せてきたゴズリングを見ていると、彼に不可能な役はないような気さえしてくる。そしてこの作品で、私のその思いは確信に変わった。ストーンも然りだ。本作のミアは彼女のキャリアを決定づける役であり、ストーンはこの役に彼女の持ちうる全てを注ぎ、それをいとも簡単にこなしているかのように見せてしまうのだ。中でも、彼女が最後に歌う悲哀に満ちた一曲『オーディション(ザ・フールズ・フー・ドリーム)』は、拍手喝采に値する名演技である。

アカデミーは、ストーン、ゴズリング、チャゼル、そしてこの素晴らしい作品に、敬愛を込めてオスカーを贈るべきだ。この完璧な映画『ラ・ラ・ランド』にはその価値がある。この作品は、ユーモア、失恋、魅惑的なラブロマンスに満ちた夢の世界にあなたを誘うだろう。紛れもなく、今年を代表する一本である。

『ラ・ラ・ランド』
監督:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ソノヤ・ミズノ、J・K・シモンズ
2月24日(金)より、TOHOシネマズみゆき座他全国ロードショー。
http://gaga.ne.jp/lalaland/