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「鉄腕アトムを一家に一台」、そんな未来感のある日常を実現すべく、大手企業5社が集結したプロジェクトが始動する。

講談社、手塚プロダクション、NTTドコモ、富士ソフト、VAIOの5社は22日、日本を代表するロボットキャラクター「鉄腕アトム」を目指す「ATOMプロジェクト」を開始すると発表した。

○「週刊 鉄腕アトムを作ろう!」創刊

同プロジェクトの第1弾として、続刊を買い集めて読者が組み立てる付録雑誌形式(パートワーク)の「週刊 鉄腕アトムを作ろう!」が創刊される。初回号(創刊号830円)は4月4日に刊行。全70号合計の価格は18万4,474円(税別)。2018年9月にすべてのパーツがそろい、「ATOM」が完成する。発表同日に行われた会見では、「ATOM」のお披露目が行われ、製品仕様も一部公開された。

「ATOM」はAIを活用したコミュニケーションロボット。パートワークで提供するコミュニケーションロボットの先例としてはデアゴスティーニが展開した「週刊ロビ」があるが、「週刊鉄腕アトムを作ろう!」では鉄腕アトムという歴史あるキャラクターを模し、その世界観をベースとした「エンターテインメント・デバイス」として展開する。

ATOMの身長は本家アトムの3分の1となる約44?。体重は1.4kgとノートPCとほぼ同等の重量だ。可動軸は18軸(頭部2軸、腕部6軸、脚部10軸)。CPUボードは専用カスタムボードおよびRaspberry Pi 3(Model B)を採用。インタフェースはRaspberry Pi3に搭載されているWifi802.11 b/g/n、Bluetooth4.1のほか、USB-A、電源コネクタを搭載する。カメラ、マイク、スピーカー、タッチセンサ、およびタッチパネルつき液晶ディスプレイも備える。

搭載したカメラで顔認識を行い、ユーザーやその友達を合計12人登録可能。絵本の読み聞かせ、YouTubeの動画閲覧、「Shufoo!」「Mapion」と連携した販売情報や行楽・イベント情報の提供、誕生日を祝う機能なども搭載する。

○一家に一台、ATOMのいる時代を目指す

同プロジェクトを主導するのは、手塚治虫漫画全集を発行するなど鉄腕アトムと縁深い講談社。企画から3年を経て、パートナー企業の協力でこのたびプロジェクトが始動したという。同社が全体プロデュース、書籍の発行・販売を担当するほか、「ATOM」のシナリオ編集やコーパス(辞書)作成、発話対応の出版コンテンツの開発にも参加する。手塚プロダクションはモデリング・キャラクター監修、誌面の企画協力・監修を行う。

「ATOM」の開発に際しては、NTTドコモがNTTドコモの「しゃべってコンシェル」の基盤技術を活かした「自然対話プラットフォーム」を提供。対話シナリオは講談社と共同開発を行う。一方、富士ソフトは同社のコミュニケーションロボット「PALRO」で培った技術によりロボティクス設計開発を主導し、OSおよびフロントエンドAI、各種アプリケーションの開発を実施する。

フロントエンドAI/クラウドAIは連携して動作し、ATOM本体が分からない言葉は音声認識でテキスト化した内容をクラウドへ移行し、自然対話プラットフォームで処理する。このような対応を行うことで、「ATOM」とユーザーがやりとりを重ねるほどに"会話力が成長"するとしている。

また、VAIOはメインボードなどの基板実装を担当するほか、「ATOM」を購入者の代理で組み立てる「ATOM 組み立て代行サービス」(パートワーク代込みの提供価格:21万2,900円/税別)を提供する。ちなみに、組み立て代行サービスを行うVAIO 安曇野工場は、かつて犬型ロボット「AIBO」の製造組み立てを行っていた工場でもあり、現在同社ではロボットやIoTの受託製造が第2の柱となっているという。

○家庭用ロボットに必要なのは「利便性」ではない

「ATOM」の開発に際し、講談社が25〜65歳の男女1200人に「家庭用ロボットにもとめるもの」のアンケートをとった結果、「会話が楽しめてコミュニケーションできる機能」が1位となり、それ以下もコミュニケーションや癒やしに関する項目が占めた。

これを受けて、同プロジェクトのリーダーを務める講談社 奈良原敦子氏は、「人々は家庭用ロボットに対して、Amazon Echoに代表されるような利便性を第一にした製品とは真逆のニーズを持っている」とコメント。「ATOM」はこのアンケート結果の通りの、コミュニケーションに重きを置いて開発されており、身近にAIの進化を感じられる製品となっていると語った。

また、プロジェクトメンバーによる機能紹介時には、富士ソフト プロダクト・サービス事業本部 PALRO事業部 商品開発・CS室 杉本直輝氏による解説も行われた。「ATOM」の部品はほぼすべてオリジナルで開発されたが、漫画・アニメの鉄腕アトムのAラインに近いフォルムが、実は2足歩行ロボットとしては不利な形状であることを挙げ、歩行理論などを活用してアトムの姿を再現したことを明かした。

鉄腕アトムというロボットが登場するコンテンツとしては最大級の知名度・人気を誇るキャラクターを再現するとあって、各社の技術を注ぎ込んだものとなっている「ATOM」。会見中のデモンストレーションでも、持ち上げられた際に「落とさないでね」と発言するなど、質問への返答だけでなく、ユーザーの行動に即した発話で会場を和ませていた。2018年の完成時、どんなやりとりを見せてくれるのか期待したい。

(杉浦志保)