不在に対する対応も宅配業者にとって大きな労務上の負担となっており、何らかの改善が求められている。(画像:いらすとや)

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 宅配便「クロネコヤマト」で5割近いシェアを持つヤマト運輸の労働組合が、2017年の春季労使交渉において、「宅配荷物総量をこれ以上増加させないこと」を要求した、と日本経済新聞などが報じた。インターネット通販の需要拡大などを背景に、末端の宅配作業員の人手不足、長時間勤務は慢性化の一途を辿っており、それに対して現場からとうとう事実上の「ノー」が突き付けられた形だ。

 国土交通省のデータによると、宅配便の約99%を占めるトラック運送による宅配でのヤマト運輸のシェアは2015年度で46.7%であり、年々増加傾向にある宅配便の総需要の実に半分近くを、一社で担っていることになる。2017年3月期の取扱個数は前年期7%増、実に18億5,000万個を見込んでいたが、しかしこの想定さえ超えることが確実視されている状況であるという。

 ヤマト運輸労働組合には、ドライバーなど6万人が参加しており、運送業界では最大の労組である。彼らの要求は、まず、18年3月期の宅配個数を17年3月期を上回らない水準にすること、であるという。

 具体的にどうするか。ネット通販会社など、割引料金が適用される大口の顧客に対して料金の値上げを求め、話が折り合わないのなら、最悪、荷受け停止まで検討する意向であるという。

 ヤマトで割引料金を適用されている企業は色々とあるだろうが、それにしても、やはり大きいと考えられるのは、インターネット通販企業の躍進という問題である。

 大手インターネット通販企業が、大口であるのをいいことに運送会社に厳しい割引条件を突き付け、結果として作業員の負担激増を招き、ついには運送会社から契約の白紙撤回を突き付けられた、という事例は、同業界において過去にも見られている。

 しかし、これは、どこか特定の通販会社が儲けを牛耳っているのが悪い、といったような、消費者にとって対岸の火事の問題ではない。根本的な問題として、おそらく今、日本の物流そのものがインターネット通販の存在を背景に大きく再編される過渡期にあり、そして、その最大の受益者は誰かといえば、消費者たる我々自身なのである。

 今後、日本の配送産業は、どう変化していくのか。我々はこの労働争議の行く末を、我が事として注視しなければならないだろう。