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●歌舞伎パックはどうして誕生した
日本文化を「顔」で楽しむ

近ごろ話題の「デザインフェイスパック」は、歌舞伎の隈取や、アニメのキャラクターなど現在50種類以上の絵柄がある美容用のフェイスパック。1枚入りと2枚入りがあるが、1000円以内で買える価格帯で、手軽に購入できるから、訪日外国人がお土産としてよく購入していくという。顔に張るとインパクトの強い絵になるので、SNSに自撮りを投稿する人も多く、今では世界中に拡散しているのだ。

○日本文化を「顔」で楽しむ

今では年間300万個が売れるというフェイスパック。このうち100万個を占める歌舞伎の隈取は歌舞伎役者・市川染五郎氏の監修で作られていて、伊勢志摩サミット公式のお土産として各国の代表団にも配られるほどだ。フェイスパックには、歌舞伎とはなにか、隈取とはなにかといった情報が日本語と英語で書かれた説明書が一緒に入っているため、歌舞伎に詳しくない人でも楽しむことができるようになっている。

そのほかにも、ヤッターマンのドロンジョや、ラスカルなど人気アニメのキャラクターや、京劇や劇団四季の演目に出てくる役のマスクなどもある。

商品そのものだけでなく、日本の文化を学べ、装着すると笑いが起きる。どこの国の人でも、どんな人種の人でも楽しめるコンセプトの分かりやすさなどが、業種を超えた新たな価値を創造したとして、「第1回クールジャパン・マッチングアワード」の審査員特別賞を受賞した。審査員からは、「今までフェイスパックの時間は人に見られたくない時間だったが、自慢したくなる時間になった」とコメント、SNSへの親和性の高さと様々なキャラクターとのコラボレーションの可能性があることから、今後さらに日本文化を世界に広めていくことに期待を寄せた。

●お菓子の企業がフェイスパックを作る
○お菓子の企業がフェイスパックを作る

フェイスパックをつくったのは、元々お菓子の販売などを行っている、一心堂本舗だ。歌舞伎座や明治座、新橋演舞場、京都 南座など歌舞伎や伝統芸能に縁のある場所に出店している。2008年、Tokyo Midtown Awardのデザインコンペ学生の部で小島梢さんが準グランプリを受賞した歌舞伎フェイスパックのデザインコンセプトを、同社の戸村憲人社長がインターネットで見たことがきっかけだという。「店に来る歌舞伎ファンだったらきっと欲しがるだろう」(戸村社長)と小島さんに声をかけ、プロジェクトをスタートさせた。

最初、フェイスパックを製造している企業に話を持っていったものの、模様が描かれたパックを製造したことがなく、インクが顔につくと問題になると断られたという。そこから肌に問題のないインクを作っている企業、色落ちをしない印刷技術を持っている企業、顔の形にシートをくりぬける企業、美容液を作っている企業など専門技術を持つ7社に得意な工程だけを依頼する分業制を構築して商品化にたどり着いたのだそうだ。

直営店はもちろんのこと、空港などのお土需要のある場所、東急ハンズやロフトで販売されている。戸村社長によると、「様々なキャラクターの版権をお借りしているので、安売りされてしまう恐れがないところとか、見えるようにしている」と販路は絞る戦略で、卸業者は通さず直販を続けている。今後も日本のコンテンツが世界に広げていけるようにしていきたいのだという。どこまで日本文化の認知を広げ、親しみをもっともってもらえるようになるか。フェイスマスクの快進撃に期待したい。

(冨岡久美子)