連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第21週「新世界へ、ようこそ」第118回 2月22日(水)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:安達もじり


118話はこんな話


キアリス最終面接に、選から外したはずの健太郎(古川雄輝)とさくら(井頭愛海)が表れて、すみれ(芳根京子)たちは困惑してしまう。

どうしてまた健太郎とさくらちゃんがいるのよ(君枝)


身内を入れるのは、「マイナス」「社員の士気が下がる」と考えるすみれたち。
家族経営の会社じゃん!という小姑ツッコミには、「自分の子を入れるには会社が大きくなり過ぎた」という根拠が用意されていた。ぎゃふん。
そして、最終面接。
10人が残ったというのに、用意された椅子に、ん? と違和感を覚えるすみれたち。画面が2分割され、分すみれや紀夫(永山絢斗)たちが、1、2、3とカウントしていくカットと、入ってくる学生たちが同時に映し出される。明らかに不穏で、案の定、10人のあとに、さくらと健太郎が入って来た。
そこで、君枝が発した台詞が↑「どうしてまた健太郎とさくらちゃんがいるのよ」
ほんとうにもうさくらのターンになると、イライラエンタメ(イラタメ)化する「べっぴんさん」。

子供達が入社することを反対する理由は、
坂東家は世間に対して公平でありたいと考えているが、君枝は違って、キアリスが、息子にはもったいないと思っている。子供の能力をもっと生かせる場所があると。君枝、姑・琴子(いしのようこ)に似て、息子溺愛母になってきている。そこが心配。

生きてきたこれまでがなにごとにも変えられない財産なんです


困った顔をする親たちを前に、健太郎は思いを吐露する。
ついに、古川雄輝の最大の見せ場が訪れた。
「大変な時代を母たち4人が」とまずキアリスの歴史を深く理解していることをアピール、
「家がいつのまにか製作所になって」からの「いやな思いもした」って、どんないやな思いだったか具体的に言わず、面接官の興味と同情を引き、
「僕の人生にとっても大きなものなんです」と自分にとってキアリスの唯一無二さを主張。
 勝てる面接トークを披露した。
 冷静ながら想いが伝わってくる、すばらしい話術だった。

だが彼がそこまでやるのは、さくらの洗脳によるものなんじゃないかと思うと何かこわい。健太郎は、琴子、君枝、さくら・・・と押し(想い)の強いひとの言うことを聞きがちな性格じゃないか。優しいってことだと思うけれど。

さくらの感性に心を動かされたことに驚きと喜びでいっぱいのすみれなのでした(菅野美穂)


結局、最終試験を受けられることになったさくらと健太郎。課題の絵と商品企画を覆面ですみれたちが審査すると、ふたをあけてみたら1位がさくら、3位が健太郎だった。
絵の個性で見極めるのは、人事部長・中西(森優作)がかつてそれで選ばれた方法だ。やっぱり中西が人事部長で合っていた。
さくらの絵には赤いおリボンをつけた犬の家族が。やっぱりセーターのおリボンが心にずっと残っているようだ。
健太郎の絵はくじら。君枝が期待するスケールをちゃんと彼はもっているのだと思われる。

それにしても、リクルートスーツに巻髪は似合わないよ、さくら。余計なお世話だが、面接のときは髪を巻かないほうがいいと、すみれがそっと注意してあげてほしい。

健太郎の意識の高さとさくらの意識の低さが如実に現れた118話だった。
「べっぴんさん」では、ドラマを盛り上げる嫁いびりの姑や小姑に代わる存在「問題児」として、さくらがヒールを託されているようだ。
(木俣冬)