フジテレビ“ノイタミナ”で放送されている『クズの本懐』。恋愛感情を起点として、好きな人を闇堕ちさせたい、搾取する快感に浸りたいなどの闇っぽい感情が飛び交う、ゲスな恋愛模様を描いた学園アニメである。
横槍メンゴによる同名の原作漫画は、現在も月刊ビッグガンガンで連載が続いており、単行本は最新刊7巻が昨年末に発売された。また、水曜深夜25時55分からは、テレビドラマもフジテレビで放送中。


主人公の安楽岡花火ちゃんは、幼馴染にしてクラスの担任である鐘井鳴海が好き。しかし、鳴海は同僚の音楽教師・皆川茜が好き。叶わぬ恋のため、花火ちゃんは粟屋麦(茜先生が好き)とお互い合意の上でかりそめの関係を結ぶのである。この他にも、同性にして花火ちゃんのことを好きなえっちゃん、麦に好き好き言いまくってる純情少女最可ちゃんが登場する。


自称クズはクズではない


独りが寂しいなら寄り添ったっていいじゃないか…。
遂げてみせるよ、クズの本懐

第1話の屋上で、麦の股間を枕にしたときに生じた花火の心情。
クズというのは、人間の夢や希望、日常生活を破壊し、そこから生まれる彼らの敗北感や嫌悪感、絶望感を栄養にして育っている人種である。
小学生に「きょうからおれが学校の支配者だっ!! 関谷さまと言ってみろ!!」って命じる中年男性・関谷(漂流教室)。巻原に寄生して「自分が乗っ取られていくことに気づいてからのこいつとの“共同生活”は楽しかったぜ」と嬉しそうに語った戸愚呂兄(幽☆遊☆白書)。
彼等は、欲求を満たすことに夢中であるため、自分自身を顧みる時間など持たない。「俺ってクズだな……」なんて思っても気持ちよくないのだ。
1話時点で花火ちゃんは、告白してきた爽やかなモブキャライケメンに対し、「興味のない人から向けられる好意ほど、気持ちの悪いものってないでしょう?」と無表情で振っている。だが、養分にしている様子はない。性格は悪いが、クズではない。

花火ちゃんをクズへと誘う茜先生


茜先生は鳴海や麦から好意を寄せられている美人音楽教師。花火ちゃんにとっては恋敵である。
「搾取される側には死んでも回りたくない」、「自分以外の誰かを好きになるなんて、私にはあり得ない」、「誰かが『いい』って言ってる人じゃなきゃ、良さが分からない」という考えを持っている。
彼女もまた、他人の不幸を養分にして生きる人間である。物欲しそうな顔で鳴海を見つめる花火ちゃんを見ていると、ついついクズの本懐が出てしまう。
「昨日、鐘井先生と…しちゃった」
第5話ラストで、薄ら笑いを浮かべながら昨夜の出来事を花火ちゃんにささやく茜先生。大して好きでもなく、つまらない男と評していた鳴海と一夜を過ごしたのである(ベッドで正座をしていたことからおそらく童貞である。童貞もののビデオに出てくる素人男優さんが事前と事後で正座しているのは、よく見かけるシーンだ)。
それを聞いてびっくりして立ち止まってしまう花火ちゃん。茜先生にとっては、「ああ…楽しみー!早く見たいな。搾取される、あなたの顔」と心待ちにしていた瞬間である。

茜さんを中心に広がっていくクズの輪


あなたに夢中な人達みんな…私のものにしたい
あいつに向いてる気持ちが欲しいの! 勝ちたいの! あいつに!

先週放送された第6話では、鳴海先生のベッドインを機に、花火ちゃん界隈の人間関係が大きく歪んできた。


花火ちゃんは、えっちゃんのアドバイスを元に、手始めに公衆の面前で茜先生といちゃついてきたチャラ男を色香で惑わそうとする。麦は好きでもなく、そそられもしない最可ちゃんをデートに誘う。
話が進むにつれて、それぞれのキャラのクズ濃度が上がっていく。新たに生まれた欲望に忠実になろうとしている。一方で、純情を貫く最可ちゃんと鳴海。水商売にハマってしまいそうな雰囲気がある。

今夜放送される第7話は「愛はたくさん(LOTS OF LOVE)」。麦と最可ちゃんのデート模様が描かれる。ここまで花火ちゃんや芽衣先輩とたくさんのキスを繰り返してきた麦。最可ちゃんの唇も奪ってしまうのか、とても不安である。
(山川悠)