『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリングとデイミアン・チャゼル監督/[c]依田佳子

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第74回ゴールデングローブ賞で歴代史上最多の7部門に輝き、第89回アカデミー賞でも『タイタニック』(97)に並ぶ史上最多14ノミネートを果たした『ラ・ラ・ランド』(2月24日公開)。2月27日(月)のアカデミー賞の受賞発表にも期待がかかるいま、来日したライアン・ゴズリングとデイミアン・チャゼル監督のインタビューをお届けする。

【写真を見る】ミアとセバスチャンが抱き合う胸キュンシーン/[c]2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. Photo credit:EW0001:Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.

すでに作品賞受賞の呼び声も高い本作。受賞すれば、ミュージカル映画としては2003年の『シカゴ』以来14年ぶりの快挙となる。来日記者会見では、スマホではなく劇場で観てほしい映画だと主張していたライアンだが「僕もスマホで映画を観るから、別に非難したわけではないんだ」と苦笑い。

「ただ映画館で映画を観るという体験をなくしたくはないと思ったからそこを強調したよ。僕はいつも自分が観たい映画を作りたいし、撮りたいという気持ちでいる。なぜなら観客が何を望んでいるのかが僕にはさっぱりわからないから。ただ、今回はすごく観客を意識して作ったよ。もちろん僕たちも観たい映画ではあったけど、観客がどういう映像体験ができるかについて考えたんだ。デイミアンは、その2つの感覚のバランスをとても上手くとれる監督だと思う」。

チャゼル監督の価値観もライアンと同じようだ。「僕も自分が観たい映画や、大スクリーンで観なきゃいけないと思える映画を作りたい。いまは誰が決めたのかわからないけど、大スクリーン向けの映画という定義がすごく狭くなっている気がする。劇場で観るべきだとされる映画はスーパーヒーローものか、いままでのリブートものかアニメ映画くらい。そうではなくて、何かすごく個人的な物語を大スクリーン向けの昨品に仕上げることは、非常にワクワクする行為だと思う」。

大作映画よりも質の高いインディーズ作品に多く出演しているライアン。作品選びにおける自身の哲学はあるのだろうか?「いや、哲学はまだ作り上げている最中だ。単純に言えば、デイミアンのように何か大きなことをやりたがる人や、これからすごく伸びていく人たちと一緒に仕事をしたいだけなんだ。そうすれば、自分がいままで限界だと思っていたところを超えられて、自分の可能性を広げられるし、演じる役柄とのつながりも見出せるから」。

エマ・ストーン演じる女優志望のミアと、ライアン演じるジャズピアニストのセバスチャンが互いの夢を追いかけていく本作。ミアは何度もオーディションに落ち「才能がない」と嘆くシーンがあるが、2人も同じように葛藤した経験はあるのだろうか?

ライアンは「いっぱいあるよ」と即答する。「最終的に成功するのは運の力も大きいよ。不公平だと思うけど、才能に溢れているのに運がない人はたくさんいる。でも、やはり努力と忍耐力が肝心だ。一生懸命努力をして、どんどん自分を高めていけば、きっと運もついてくると思う。僕も多くの人に助けられてきたよ」。

チャゼル監督も大いにうなずく。「僕もこの映画を作っている時でさえ『やっぱりダメかもしれない』と思う時があった。でも、そういう時には自信を取り戻させてくれるキーパーソンが現れ、そこからまた前へ進めるようになるんだ。きっとみんなそうだと思う。だからあのミアの台詞は、個人的にすごく響いたよ。僕には自信満々でエゴにまみれている状態と、全然自信がない状態の時が両方あって、常にそこを行き来しているんだ」。

ライアンも「それはクリエイティブな人にはありがちなことだ」と同意する。「クリエイティブな人は失敗することが多いというか、ほとんどが『失敗した』と思ってしまい『成功した』という気分にはあまりならないんだ。でも僕は努力する過程の方が大事だと思う。失敗の方が多くて、そのなかにちょっと成功があるという方がたぶん正解なんじゃないかな」。

本作で、大好きなジャズやミュージカルを打ち出したチャゼル監督だが、製作にこぎつけるまでには大変な苦労があったらしい。「資金集めの時に『ミュージカルやジャズは人気がないから、興行収入は見込めない』と何度も言われたよ。だから今回成功できたことは本当にラッキーだった。本作では普段目にしないものが実は面白いんだと気付かせてあげることができたんじゃないかな」。

ライアンも「この映画を作れただけで『勝った!』というような気持ちになれた。撮影が終わった時、たとえこの映画が誰にも好かれなくても僕たちが誇りに思える作品だと自負していたから。そしたら公開後、あんなに観客の反響をもらえて、何度も観てくれるリピーターまで現れた。あの世界観が世間的に受け入れられたことは、僕たちにとってすごく励みになったよ。つまりみんな、こういう映画を観たかったんだよね」。【取材・文/山崎伸子】