国連が定めた世界自閉症啓発デーの4月2日に、青色にライトアップされた米ニューヨークのエンパイアステートビル(2015年4月2日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】母親が妊娠早期に性器ヘルペスウイルスに感染していると、生まれる子どもの自閉症リスクが倍増する恐れがあるとの研究論文を、米国とノルウェーの研究チームが22日、発表した。

 米国微生物学会(American Society for Microbiology)の専門誌「mSphere」に掲載された研究論文では、母親の免疫反応が、発育中の胎児の脳に悪影響を及ぼし、自閉症の発症率を左右する可能性があることが初めて示された。

 論文の筆頭執筆者で、ノルウェー公衆衛生研究所(Norwegian Institute of Public Health)研究者のミラダ・マヒク(Milada Mahic)氏は「単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)に対する母親の免疫反応が、胎児の中枢神経系の発育を乱し、自閉症リスクが上昇する恐れがある」と話す。

 自閉スペクトラム症(ASD)をめぐっては、その原因においていまだに不明な部分が多く、遺伝的な影響と環境要因の何らかの組み合わせによって発症すると考えられている。

 米国の子どもでは、68人に1人が自閉症とされている。この神経発生障害は、社会性やコミュニケーション能力に影響を及ぼす。

 一方、性器ヘルペスに感染している米国人女性は約5人に1人。性器ヘルペスは完治が難しく、通常は性行為を通じて感染する。

 今回の最新研究では、母児感染と自閉症との関連性を調べるため、出生異常リスクを上昇させることが示されている病原体5種について調査した。

 調査対象とした病原体は、トキソプラズマ原虫、風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルスの1型と2型の5種だ。

 研究チームはノルウェーで、自閉症と診断された子どもの母親412人の血液サンプルを調査し、自閉症でない子どもの母親463人分のデータと比較した。

 血液サンプルの分析は、妊娠18週前後と出生時に実施された。

 調査の結果、自閉症リスクの上昇と関連性が認められたのはHSV-2に対する抗体だけで、他の病原体の抗体についてはどれも関連がみられなかった。

 また、このリスクが明確に認められたのは、妊娠早期の段階で母親の免疫系が性器ヘルペス感染と闘っていた場合に限られた。妊娠早期は、胎児の神経系が急速に成長している時期に当たる。

 論文の主執筆者で、米コロンビア大学(Columbia University)メールマン公衆衛生学部(Mailman School of Public Health)感染免疫センター長のイアン・リプキン(Ian Lipkin)氏は「自閉症の大半の症例の原因については不明だ」と指摘する。

 その一方で、研究が示唆しているのは、遺伝と環境の両要因が役割を果たしているということとしながら、「炎症と免疫活性化がリスクの一因となる可能性があることが示唆された」と説明した。
【翻訳編集】AFPBB News