2017シーズン 選手の補強一覧

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主力が揃わなかった昨季。関憲太郎、ハモン・ロペスがチームを支える

 フットボールチャンネル編集部では、Jリーグ開幕に向けて各J1クラブの補強動向を診断していく。今季の目標に向けて、効果的な補強を行うことができたクラブはどこなのか。今回は、昨季のリーグ戦で年間総合12位だったベガルタ仙台を占う。

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 ここ数年は毎年のように残留争いに巻き込まれていたが、2016年は上位争いに絡めなかったものの年間12位で終えた。

 渡邉晋監督就任3シーズン目は、従来の4-4-2をベースにしながらポゼッションを高めるスタイルが徐々に定着。緩やかにチームの世代交代も進んでいる。

 長年チームを引っ張ってきたウイルソンのコンディションが整わずエース不在が心配されたところは、Jリーグのスタイルに順応したハモン・ロペスがカバーした。特に2ndステージの爆発ぶりは凄まじく、年間10ゴールで二桁得点も達成。フィジカルとテクニックが融合した突破と強烈な左足は常に対戦相手の脅威になっていた。

 六反勇治が長期離脱を強いられたGKのポジションは、関憲太郎が獅子奮迅の活躍でその穴を埋めた。けが人続出で主力が全員揃うことは少なく、まさにチームの全員が足りないところを補いながら互いを高めていく、総力戦だった。

 その過程で若手にも経験を積ませることができ、彼らの成長も2016年のポジティブなポイントの一つだろう。現在は手倉森誠監督が築き上げたものをベースに、渡邉監督が目指すスタイルを徐々に定着させている段階にあり、2017年は勝負の1年となる。

主力の退団相次ぐもクリスラン、平山ら獲得。シュミットも復帰

 六反勇治、渡部博文、ウイルソン、ハモン・ロペスといった主力が退団したものの、補強によって大きな戦力ダウンは避けられた。守備陣には柏から経験豊富なDF増嶋竜也も加入し、期限付き移籍でプレーしていた平岡康裕も完全移籍で清水から確保することに成功した。

 なにより、日本代表候補にも選ばれたシュミット・ダニエルが期限付き移籍先の松本山雅FCから復帰したことは守備に大きな安定感をもたらすことになるだろう。松本をJ2の3位に押し上げる原動力となった長身GKは、仙台にとって長く貴重な人材となり続けるはずだ。

 攻撃陣では平山相太やクリスランが新たな1トップ候補に名乗りを上げている。また渡邉監督は今季から3バックの導入を進めており、そのシステムをすでに理解している石原直樹や中野嘉大の加入も大きな意味を持つ。

 クリスランは負傷によって出遅れているが、前線は例年になく充実している。2人のブラジル人や金園英学らが退団しても、平山と石原の加入で得点力はアップしたはず。まずはパブロ・ジオゴや奥埜博亮、西村拓真、野沢拓也ら様々な強みを持つ既存戦力との融合が不可欠だ。

渡邉監督のもと3バックにシフト。新戦術導入の困難を乗り越えられるか

 渡邉監督は今季から3バックの導入を進めている。仙台といえば手倉森監督時代にACL出場などを勝ち取った4-4-2のイメージが強い。だが、ポゼッション率を高めて主導権を握りながら試合を進めたい渡邉監督にとっては中盤で数的有利を作りやすい3-4-2-1が理想のようだ。

 得点源となる1トップは新加入のクリスランと平山が軸で、石原や奥埜、パブロ・ジオゴらが2シャドーの位置からストライカーをサポートする。ポルトガル1部のブラガから獲得したクリスランは早速負傷で出遅れているが、体調が整えば大爆発の可能性を秘めている。

 一方、それぞれに高い能力が求められる3バックは、経験豊富な増嶋を軸に、これまでサイドバックを務めることが多かった石川直樹や大岩一貴が脇を固める。シュミット・ダニエルと関の正守護神争いも注目だ。

 今季はトップ10入りが現実的な目標になるだろう。渡邉監督にとって4シーズン目は、厳しい戦いを強いられることになるかもしれない。ただ、新しいことを始める時には困難がつきもの。それを乗り越えた先にある理想が近づいてくれば、自ずと結果もついてくるだろう。

診断

補強評価 B

 主力の退団によって抜けた穴を的確に埋め、指揮官のスタイルに合った新戦力も確保した。近年所属クラブで本領を発揮できていなかった選手もいるが、それぞれのクオリティに疑いはない。特にクリスランが期待通りの活躍を見せられれば安定して勝ち点を積み上げられるだろう。

総合力評価 D

 退団した選手の埋め合わせはできているが、選手層が厚いとは言えない。もちろん着実に成長を遂げる若手たちは心強いが、昨季のように負傷者が続出するようなことがあれば厳しい戦いを強いられるだろう。

 また渡邉監督の掲げる3バックが実戦でどこまで機能するかも不透明だ。緻密なコミュニケーションと連携を必要とするだけに、チーム全体に戦術が浸透しなければ機能不全を起こしてもおかしくない。日々噴出する課題をその都度確実に克服できるかも指揮官のプランの実現を左右する。

text by 編集部