国内のみならず、外国人からも人気があるしまなみ海道。自動車道の脇に、自転車道が整備されているというインフラの充実度ももちろんだが、知名度アップに貢献したのは周辺県や市の尽力がある

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国内のみならず、海外からも多くのサイクリストが訪れるしまなみ海道。「サイクリストの聖地」となった背景には、愛媛県知事を始めとする行政側の努力があった。

3年で自転車通行量は倍増
「サイクリストの聖地」に

 広島県の尾道から愛媛県の今治まで、8つの島々を9本の橋でつないだ「瀬戸内しまなみ海道」(以降「しまなみ海道」)は、国立公園でもある瀬戸内海の多島美が味わえることから「サイクリストの聖地」として、いまや国内のみならず海外からも多くの人が訪れるまでになっている。

 広島県尾道市では、2014年に同市を訪れた観光客のうちサイクリング客が13万2535人、外国人が13万1646人と、それぞれ前年から45%、40%の大幅増となった。

 そして愛媛県今治市の外国人宿泊客数も、14年が1万953人と、前年の1.5倍、3年前の1.8倍に伸びている。また、しまなみ海道沿線の15年の自転車通行量も、3年前からほぼ倍増したことが判明している。まさしくうなぎ上りの好調ぶりだ。

 世界遺産、小京都、昭和レトロ、美肌の湯…日本全国の自治体や地域が、そうした売り文句で集客を試みている。近ごろではご当地グルメや、映画ゆかりの“聖地”など、一風変わった切り口も増えてきた。しかし、サイクリングを売りにしてここまで成功した例となると、はたして他にあるだろうか?

 ひと口に「しまなみ海道」と言っても、全線を走れば70kmほどにもなる長大なコースだし、広島県尾道市・愛媛県今治市間の県境という行政の壁が全行程のほぼ中央に存在する。加えて、サイクリングの楽しみ方は本格的なロードバイクでのスポーツ走行から、シティサイクル(いわゆるママチャリ)での散歩感覚の寄り道走りまで、それこそ千差万別だ。安易なアイデア先行の観光振興策では、確実に失敗しそうな事案とも思える。

 しまなみ海道の成功は、行政の壁を越えた自治体間の協力や、民間の活力を柔軟に取り込む気風があってこそのものだ。現在の成功に至る経緯を、関係各氏に聞いた。

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