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●バランスのよさが光る「nova」
ファーウェイ・ジャパンは2月21日、都内で発表会を開催し、SIMフリースマートフォンの新ブランド「nova」シリーズ2モデルを披露した。SIMフリースマホブームに乗って、主にビジネス市場などをターゲットとしたハイエンド市場を中心にシェアを伸ばす同社だが、新ブランドでは若年層の市場開拓に乗り出してきた。

○市場シェアは大幅拡大中

ファーウェイ・ジャパンの呉波(ゴ・ハ)社長は、業績が業界水準を大きく上回って好調であり、日本市場でも上位に食い込んでいることを紹介。さらなる飛躍をはかるため、ビジネス向けの「Mate」シリーズ、女性ユーザーをターゲットとした「P」シリーズに加え、若年層向けのフラッグシップとして新シリーズ「nova」を発表した。

○カメラに力が入った良バランスモデルの「nova」

新ブランドのフラッグシップモデルとなるのが「nova」だ。novaは「Innovation」から取ったということだが、超新星の意味も重ねているようだ。ブランドとしてはミドルレンジということもあって、性能のほうもミドル帯に属することになる。CPUには2GHz動作のオクタコアを採用した「Snapdragon 625」を採用。メインメモリは3GBと、スペック的にはちょうどASUSのZenFone 3と競合する製品だ。

ボディカラーは「ミスティックシルバー」「チタニウムグレー」「ローズゴールド」の3色。ボディ背面はやや丸みを帯びた形状で、手に持ったときにとても握りやすい。一方で、ゲームなどでテーブルに置く場合はガタつくので、水平で固定するためには、何らかのケースを併用したい。

SIMカードスロットはnano SIM×2を用意しており、3Gと4Gの同時待ち受け(DSDS)が可能になっている。さらにVoLTE対応、CAによる300Mbps通信が可能など、ハイエンド端末並の高機能を実現、このあたりもZenFone 3と直接競合している。

液晶は5インチのフルHD解像度で、本体幅も69.1mmと持ちやすいサイズだ。液晶はベゼル幅が1.8mmしかない超狭額設計(iPhone 6s / 7は4.29mm)。液晶サイズは0.3インチ(約7.6mm)増えていても、4.7インチのiPhone 7と比べると幅は2mmしか増えていないことをアピールしていた。

メインカメラは1,200万画素のソニー製センサーを採用。画素サイズが1.25μm四方と大型の素子を採用しており、暗所に強いほか、4K-30FPSの撮影も可能。像面撮像素子AFとコントラストAFを併用するコンポジットAFにより、素早いオートフォーカスが可能。インカメラも800万画素のユニットを搭載しており、リアルタイムに顔に化粧を施す「メイクアップモード」が搭載されている。

サウンド面では、DTS Headphone:Xによる7.1chバーチャルサラウンドに対応。対応コンテンツであれば、通常のヘッドホンでも7.1chのサラウンドサウンドを楽しめる。ただしこの形式に対応したコンテンツが事実上「Music Live」以外ほとんど存在していない(しかもMusic Liveは5月末でサービス終了してしまう)ため、残念ながら、当面は宝の持ち腐れということになりそうだ。

サイズ比較などではしきりとiPhoneの数値を引き合いに出しており、製品の位置付けとしてはiPhoneユーザーがターゲットになっているようだ。作りの良さを前面に押し出しているだけあって、細部まで精度の高い加工が施されており、よくできていると感じられる。手に持った感じも安っぽさは感じられず、iPhoneユーザーに訴求しようという心意気はよく伝わってきた。結果として、SIMフリーのAndroid端末としては、極めてコストパフォーマンスの高い一台に仕上がっていると言えるだろう。

●低価格帯をカバーする「nova lite」
novaシリーズではローエンドを担うことになるのが「nova lite」だ。ボディカラーはホワイト、ブラック、ゴールドの3色。ボディデザインは背面が丸みを帯びたnovaと異なり、背面は平坦なデザインとなっている。ディスプレイは5.2インチのIPS液晶を搭載しており、解像度はフルHDだ。OSは最新のAndroid OS 7.0 Nugatとなっている。

SoCは中国・HiSiliconの「Kirin 655」だ。HiSiliconはもともとファーウェイのASIC開発部隊がスピンアウトした企業で、実質社内開発のSoCといってもいいだろう。novaのSnapdragon 655と同じくオクタコアだが、こちらは2.1GHz×4+1.7GHz×4のBig・Little式切り替えによる動作となる。全体として性能的にはSnapdragonに及ばないものの、メインメモリは3GB搭載しているため、アプリを複数立ち上げていても動作は快適そうだ。一方、フラッシュメモリは16GBしか搭載していない(microSDにより最大128GB拡張可能)ため、アプリを大量にインストールしたり、大量の写真やムービーを記録したい場合は気をつけたい。

メインカメラは1,200万画素、インカメラは800万画素という組み合わせはnovaと同じだが、こちらはソニー製撮像素子であるかどうかは説明されなかった。標準のカメラアプリでも、メインカメラでは4K撮影が、インカメラではメイクアップモードがないといった違いがある。これらの機能はアプリで追加可能ではあるが、ターゲットが若年層、特に女性の場合は今やメイクアップ機能などが必須と言われている。後からインストールする手間を厭われないかがやや心配かも。

SIMはnano SIMスロットが2つ用意されているが、こちらはnovaと違って3G・4GのDSDSができないタイプとなる。また、CAやau向けのLTEバンドにも対応していない。バッテリーは3000mAhと大容量タイプで、平均的な利用であれば丸2日間の利用が可能だという。

単独販売が行われるnovaと異なり、nova liteはMVNOのみの販売となる。販売価格はMVNOによって異なるが、概ね20,000円前後となっている。この価格帯もなかなか競合が多い激戦区で、さらにもう少し下の価格帯からの突き上げも始まっている。バランスのいい1台なのだが、何かひとつ突出した武器がほしいところだ。

○SIMフリー市場の覇者になれるか?

novaシリーズの2モデルは、いずれも価格帯を超えた高級感のある端末であり、性能面も含めて完成度は非常に高い。ファーウェイが国際的にも大きくシェアを伸ばしているというのも納得できる。特に上位モデルの「nova」は安心して買える1台であり、今年前半のSIMフリー端末ではかなりの人気を集めるだろう。

一方、あまりにiPhoneを意識しすぎていて(特にカラーリングやデザインなど)、ファーウェイならでは、novaシリーズならではという特徴が見えづらい。スペック的には売れる要素が満載なので心配はしていないが、競合するSIMフリー端末には、デザイン面や機能面でユニークなものが登場しつつある。もう少しファーウェイらしさというものを打ち出していく時期に来たのではないだろうか。

(海老原昭)