【2017年J1クラブ分析ぁ枦確補強と若手台頭の広島 「手応えしかない」新シーズンを心待ちに

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 林卓人、森崎和幸、佐々木翔、柴崎晃誠、アンデルソン・ロペス。うち4人が2015年の優勝メンバーであり、ロペスも昨年後半から台頭してスタメンを張った主力だが、サンフレッチェ広島の屋台骨を背負う彼らが負傷等の理由で開幕戦には間に合わない。普通であれば、大ピンチである。だが、柏好文は「手応えしかない。早く公式戦が始まってほしい」と語った。主力5人を欠いてもなお、チームには自信が満ちている。

 その理由の一つは、的確な新戦力補強と若手の成長による選手層の厚みだ。たとえば佐藤寿人や森浩司、ピーター・ウタカを失った前線には工藤壮人やフェリペ・シウバら実力派が加入し、2年目の森島司がキャンプで大きく成長。昨年の実績で自信を得た茶島雄介も、存在を強くアピールできている。特にフェリペ・シウバは日本では全く無名の存在だが、パス、ドリブル、シュート、プレースキック、全てが高精度でありアイディアも豊富。「レアンドロ・ドミンゲス並みのインパクトがあるのでは」と多くの関係者が絶賛する逸材だ。

 また、林不在のGK陣では、移籍3年目となる廣永遼太郎が台頭。タイで行われたトヨタプレミアカップで数多くのビッグセーブを連発して日本勢2チーム目の優勝に貢献。「足下の技術なら1番」と下田崇コーチが太鼓判を押すビルドアップの正確性も相まって、ファジアーノ岡山から移籍してきた実績豊富な中林洋次を抑え、森保一監督の信頼を勝ち得た。経験値はないが、かつて柿谷曜一朗(セレッソ大阪)らとともに2007年U−17ワールドカップ出場を果たした才能が大きく開花しようとしている。

 一方で森保監督が今季、広島の守備戦術を変えようとしていることも、選手たちには大きな刺激だ。ベースには今までの「リトリートからのブロック形成」が存在するが、一方で攻→守の切り替え時点でのプレッシングを今キャンプでは徹底。「主力選手たちが入れ替わっていき、阿吽の呼吸がつくりづらい中で、より成長して上位進出を果たすには不可欠な戦術」と森保監督は言う。その戦術を全うするためにキャンプでは激しい負荷と強い強度のトレーニングを課し、キャンプを視察した森崎浩司アンバサダーが「昨年よりも運動量は豊富だし、強度が90分間落ちない」と評価するレベルを手に入れた。5年で3度の優勝を果たした広島が、指揮官の仕掛けるマイナーチェンジを成功に導くことができれば、タイトル争いの主役になれる。柏の言う「手応え」とは、そういうことだ。 

文=紫熊倶楽部 中野和也