photo via Startup Stock Photos CC0 License

写真拡大

◆アクションプランが役に立たない

 身に付けたいスキルをパーツ分解し、コアスキルを反復演習して着実にビジネススキルを体得する「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」を企業や団体向けに実施している。実施依頼の多いプログラムのひとつにアクションプラン(行動計画)の策定がある。アクションプランの策定とは、一般的には、例えば翌月に、何の業務を、いつまでに、どういう優先順位で実施するかなどを整理するための行動計画の策定をするものだ。

 実施依頼の理由を聞いてみると、大半が、「既にアクションプラン策定を指導し徹底しているが、形骸化しているように思えてならないので、実効性を高めて欲しい」という意味ものだ。アクションプラン策定によらず、さまざまな施策の実効性を高めたいというニーズは、月を増す毎に高まっている。

 依頼企業や団体の状況を、さらに掘り下げみると、次の二つのパターンに陥っていることがわかってきた。アクションプランの策定に疲弊してしまっているパターンと、アクションプラン策定のかけ声だけで終わっているパターンだ。私は前者を「練習過多型」、後者を「掛声倒れ型」と呼んでいる。

◆煩雑なアクションプラン策定シートが疲労困憊させる

「練習過多型」に陥りやすいケースはこうだ。大概、たいへん精密なアクションプラン策定シートが準備されている。所属、役職、氏名、社員番号、上司の役職と氏名を記入する欄があり、翌週、翌月、翌三か月について記入するページに分かれている。

 それぞれのページに実施予定のアクションの区分、内容、説明、期待する効果、想定される障害と克服方法、そして、優先順位を記入。各々のアクション毎に社内・社外関係者の名前を羅列し各々の関係者の役割と関係者に対するアクションを記入する。さらに全体を俯瞰して、その期間の目標とアクションのまとめ、到達のための決意を記入させるという念の入りようだ。

 見ただけでうんざりするだろうと思わないか。記入するだけで大仕事だと胸の内に感じないか。事実、記入するだけで2時間かけているケースがある。メンバーが記入するだけで疲れてしまい、記入し終わった途端、記入完了の達成感と解放感に満ちてしまう。その結果、アクションプラン策定シートに記入した内容に沿ってアクションするという本来目的がほとんど実現されていない。「練習過多」で本番の出番で役立たなくなってしまうという本末転倒な事態の陥ってしまうのだ。

「練習過多型」に陥りやすいのは、大手企業やそのグループ会社、外資系企業だ。合議を重んじ、ヒエラルキーが確立していて、たいへん素直で優秀なアクションプラン策定シートの作成者がいる企業だ。

 要は、素直で優秀な担当者が、直属上司やその上の上司からあれこれ助言を受けるたびに、それらを盛り込み、合議する中で出た意見を反映させるたびに追加された項目の集大成がアクションプラン策定シートになっているパターンだ。あるいは、優秀な担当者がアクションプラン策定シートの事例を山ほどある書籍などからかき集めて、再構成した結末だ。

◆優先順位はドタ勘

 他方の「掛声倒れ型」は、「アクションプランを策定しろ」「優先順位を付けろ」と指示ばかりが飛び、メンバーはそれを実行しているが、アクションを書き出して、それぞれの感覚で優先順位を付けているに過ぎないケースだ。「練習過多型」の精密なアクションプラン策定シートでも、実は優先順位の付け方は、メンバーそれぞれのドタ勘で付けられているケースが少なくない。

◆「メンバーの能力のなさ」という諦観

 精密なアクションプラン策定シートが役に立たないのは、それが精密過ぎるからだ。普通のビジネスパーソンが、日常業務の中で苦もなく記入して、実行する際の参考にできないようであれば、時間と労力をかけて作成する意味がない。精密なアクションプラン策定シートを記入させることは、やめた方がよい。精密なアクションプランなど策定しなければ、そもそも「練習過多型」に陥ることはない。