北朝鮮の金正恩党委員長の異母兄である金正男氏が殺害された事件が起きたマレーシアのクアラルンプールで唯一の北朝鮮レストラン(以下、北レス)である「高麗館」が、事件発生後も営業を続けている。

高麗館はクアラルンプールの繁華街、ブキビンタンの外れにある。金正男氏が頻繁に訪れていたスターヒルギャラリー・ショッピングセンターから徒歩で5分ほど。中国の北レスは韓国人客を追い返すが、ここは受け入れている。

こうした事情から、韓国メディアの記者が入れ代わり立ち代わり、このレストランを訪れて、女性従業員に質問を投げかけている。そのため彼女らは相当苛立っているようだ。

韓国のTV朝鮮は17日、記者が高麗館を訪れたときの様子を報じている。金正男氏殺害事件について聞かれた従業員は次のように答えた。

「それを聞きに来たのか。私はそんな人知らない。あなたの友達か。私たちは元帥様(金正恩氏)以外は知らない。あなたはすごい。私の知らないことまで知っている。もしかして平壌から来られたのか。嘘ばかり言うからニュースは見ない」

韓国のチャンネルAも18日、記者が高麗館を訪れたときの様子を報じたが、従業員は苛立った様子で次のように返答した。

「無礼だ。ここはレストランだ。何か事件でも起きたのか。首領様(金正恩氏)さえ死ななければ問題ない」

一方、AFP通信は、高麗館の女性従業員が近隣住民とほとんど交流がなかったと伝えている。

マレーシアのジャック・リュウ氏は、自身が営む自動車修理工場と高麗館がバックアレー(ゴミ出し用の裏路地)を挟んで隣り合っているが、女性従業員がこの道を通ったり、誰かに話しかけたりすることはなく、交流は非常に限られていたと語った。

一方、高麗館の近隣で韓国レストランを経営するアレックス・ファン(韓国名ファン・イルロク)氏は、マレーシアに250人以上いる北朝鮮の貿易関係者などがこの高麗館を頻繁に訪れていたと証言した。

「彼らの多くはロレックスの時計をはめて、いい車に乗って、最新のIT機器を持っていて、子どもを普通の学校に通わせていた」(ファン氏)

ファン氏は、韓国政府系機関の民主平和統一諮問会議のマレーシア支部長で、マレーシア韓人会の会長を務めた人物で、ファン氏のレストランには生前の金正男氏が訪れていたことで知られる。