米カリフォルニア州バークレーでカフェ「1951コーヒー」を開いたレイチェル・テーバーさん(右)とダグ・ヒューイットさん(2017年2月9日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】米カリフォルニア(California)州にある学園都市バークレー(Berkeley)に最近オープンしたカフェの売り物は、入れたてのラテやエスプレッソだけではなく、今米国を揺るがしている難民問題に関して生きた教訓を学べることだ。

 レイチェル・テーバー(Rachel Taber)さん(34)とダグ・ヒューイット(Doug Hewitt)さんが立ち上げたカフェ「1951コーヒー(1951 Coffee)」のスタッフは、全員が難民だ。シリア、ブータン、アフガニスタン、ウガンダ、エリトリアなどさまざまな国の内戦や迫害から逃れてきた彼らはここで新しい人生を築こうとしている。

 このカフェが営業を始めたのは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が難民とイスラム圏7か国出身者らの入国を禁止する大統領令を出したわずか数日前。大統領令に触発された地元の人々が大勢カフェにやって来て、さまざまなコーヒーを試飲する一方で支援を申し出た。

「タイミングを計ったつもりは全くないのですが、この店を開いたのは、私たちが非難されてきたからです」と、ある日の午前中、客足が途絶えない店内でテーバーさんは語った。

 米国を拠点とする難民の再定住を支援する団体「国際救援委員会(IRC)」で働いていたこともあるテーバーさんとヒューイットさんは、このカフェは、非常に大きな注目を浴びている移民問題に対して人々の意識を高め、啓発するにはうってつけな場所だと話す。

 店名は、1951年に国連(UN)で採択された難民の地位に関する条約に敬意を表して付けられている。内装は木材と黒褐色を基調としており、壁の一面の長いモザイク画は、多くの難民たちがそれぞれの祖国から一般的にたどる経路を示したものだ。

 こうした要素からカウンターに立つバリスタまで、1951コーヒーは訪れる客たちに明白な教訓を提示している。

■「この店での経験を励みとして、キャリアを積んでもらいたい」

 友人と共に2度来店したという女性客(57)は、「コンセプトが素晴らしいと思う」「非常に不愉快な政治問題があるけれども、この店に来ることは、とてもささやかながら、自分にもできる有意義で建設的なこと」だと述べた。

 黒いヒジャブ(頭髪を覆い隠すスカーフ)を着用し、大学で生物学を学んでいるという女性(21)は、友人たちとほぼ毎日このカフェに立ち寄り、ここでコーヒーを飲むことで政治的な意思表明を行っているのだと語る。そして「私たちイスラム教徒はお互い助け合う必要がある。今は特に」「難民に関して正しい知識を身に付けていない人は多い。そういう人たちは難民を一般人ではなく、テロリストだと判断する」と指摘した。

 カフェの全従業員(現在は10人)は、コーヒーの入れ方の基礎やコーヒーの種類、接客マナーといったことを2週間の研修で学ぶ。難民たちにコーヒー業界で働くための糸口を提供し、第2の祖国で自立してもらうためだ。

「私たちは、再スタートを切ることを願いながらも学歴や職歴がない人たちに、ここでの経験を励みとして、素晴らしいキャリアを積んでもらいたいと思っています」とヒューイットさんは言う。

 従業員の中には、この地で新たな人生を送る中、自らが激しい論争の渦中にいることに気付いたときにこのカフェが希望を与えてくれたと話す人々もいる。

 医者を目指しているラナさん(18、仮名)は、2年前にシリアを逃れ両親、3人のきょうだいと共に米国にやって来た。トランプ政権の難民への風当たりを目にして困惑したと話す。「あの大統領令が出されてからはすごく怖かった」「米国に望まれていないのだとしたら、私たちは、どこに行けばいいのでしょうか」と問い掛けた。
【翻訳編集】AFPBB News