後で振り返ればこれが何かの始まりだったりして...。

FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグは先日突如、5,800文字にもなる長文の投稿をFacebook上でポストしました。世界最大のソーシャル・プラットフォームの今後の方針を改めて述べた、「グローバルなコミュニティを作り上げること」と題された文章、その長さもさることながら、内容が抽象的でありかつ当たり障りの無い言葉遣いであったことから「マークがまったく中身の無い文章で6,000文字突破」「そんなの読むわけねーよ(だから一問一答式に噛み砕きました)」と馬鹿にする扱いもメディアでは見られる中、多くジャーナリストたちはそのタイミングと政治家のような文章スタイルに意味を見出しているようです。

グローバル・コミュニティとしてのFacebookが目指すべき指針が次の5つの要素で説明されています。それぞれ段落冒頭を引用して紹介します。


お互いに支え合うコミュニティ


全員にとって有益なグローバルコミュニティを作るためには何百万ものより小さいコミュニティや親密な社会構造を抱えることから始まる。こういったコミュニティで私たちは個人的な、感情的な、またスピリチュアルなニーズを求めるのだ。

スポーツであれ職業であれ信念であれ、新しいコミュニティの形成を促し、現存するコミュニティをより強化することでFacebookの狙いはオンラインだけでなくオフラインでのつながりも強くなる、それを目標としているそうです。


安全なコミュニティ


私たちがグローバル・コミュニティを作る上で、今が正念場だ。私たちの成功はただビデオを撮影できてそれを友達とシェアできるかどうかで決まるわけではない。害を防ぎ、危機に面した時に助けとなり、回復の助けとなれるような、安全なコミュニティを作れるかどうかにかかっている。

今日の問題はグローバルでありながら、私たちを守るべきインフラはグローバルではない、ということを指摘しています。テロ、自然災害、病気、難民危機、どの問題も1つの国だけで解決できるものではないわけです。


情報の行き届いたコミュニティ


一人ではできないことを人が集まることで一緒に達成する。それがあらゆるコミュニティの目的だ。これを達成するためには、私たちが共に何かに取り組むために必要な共通の理解を築く方法、新しい考えを共有する方法が必要だ。


参加者がちゃんと市民として参加しているコミュニティ


私たちの社会は私達の集合的な価値観を反映する。しかしそれは市民としてのプロセスに従事し自治に参加しないと反映されることはない。この点で求められているソーシャル・インフラには二つのタイプがある。一つは現存する政治プロセスへの参加を促すもの。(中略)もう一つは世界中の市民が集団として判断を下すための新しいプロセスを設立するものだ。


多様性を受け入れるコミュニティ


多様性を受け入れるグローバル・コミュニティを築くには、世界中の市民がコミュニティの自治に参加する新しいプロセスを作り上げる必要がある。大規模なスケールで集団による意思決定がどう機能するかについて探りたいと思う。

とこんな感じなのですが...これを読んでシム・シティがしたくなったのは私だけじゃないはず。なんだかまったく新しい国の制度を作るかのようなこの文章、多くのメディアによって「とても政治的だ」と形容されています。

大統領選への影響、偽ニュース対策(アメリカだけでなく世界各国で問題視されつつあります)、コンテンツ・ポリシーとグローバルレベルでいろいろな政治的問題にさらに大きく関わりつつあるFacebookがこのタイミングでこの声明を発表したのは、社会責任へのコミットメントの表明なのでしょう。

2024年の大統領選を狙っているのではないかという推測はこれまでも何度も出てきましたが、この文章はそういった噂を語る人たちをさらに煽っているようですね。大統領に立候補するつもりはあるのか、と聞かれた時にマークは笑って否定した、とNew York Timesが報じていますが、この文章を読むと彼の狙いはアメリカよりももっと大きい全世界を包むものなのがわかりますね。この文章の中で「ソーシャル・インフラストラクチャー」という単語が14回も出てくることをThe Vergeが指摘していますが、Facebookはまさにあらゆるデジタル・コミュニティ・サービスの基盤になろうとしているようです。

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image: Justin Sullivan/Getty Images
source: Facebook, The Verge, New York Times, The Guardian 1, 2, Gizmodo US, BUSINESS INSIDER JAPAN

(塚本 紺)