センター試験廃止

写真拡大

大学のセンター試験が廃止され、’20年(4〜翌年3月。新中学3年生が対象)には、新たな共通テスト【大学入学希望者学力評価テスト(仮)】が導入される。従来の知識詰め込み型テストとは違い、受験生たちのより“深い能力”が問われる新テストになると推測されるが、はたして、この新テストとはどのようなものなのだろうか。ここでは、いち早く“作文力”を唱えてきた、総合学習塾「ジーワンラーニング」代表で、開成中高弁論部監督を務める神尾雄一郎氏を取材。新テスト導入で問われる、新たな学生のスキルについて聞いた!

●日頃から、作文や要約の練習を!

まず、新テストにはどのような特徴があるのだろうか。また、従来のセンター試験との大きな違いは?

「最大の違いは、受験生の“思考力・判断力・表現力”を、より適切に評価しようとする点です。その表れとして、国語と数学に、条件に従って数10文字程度で記述する形式が導入されます」(神尾氏 以下同)

新テストに備え、今後学生たちに問われる課題はある? 

「記述型試験は、確認テストや定期試験対策といった決められた範囲を暗記しておくような勉強では対応できません。まず国語に関しては、自分の意見を正しい日本語で表現する“作文”や、与えられた文章や資料から要点をまとめて説明する“要約”の練習をしておく必要があるでしょう。文部科学省が示した【記述式問題イメージ例】を見ますと、現在の大学入試における小論文試験ほど難しくはなさそうなので、今から訓練を積み重ねれば、対応可能であると思っています。一方数学は、解答を導くまでの思考過程を“途中式”などでしっかり説明する習慣をつけるとよいでしょう」

●思考力を磨き、社会や周囲の動きに惑わされない自分に!

今後大学受験生に向け、進学塾ではどのような体制を取ってくのだろうか。今までとの違いは?

「ジーワンラーニングでは、今までのセンター試験対策は、過去問演習と分析が中心でしたが、しばらくは出題を予測しつつ、文章や図表から得られた情報をどう抜き出すか、自分の意見をどうまとめるべきかが身につくような練習問題を与えていきたいと考えています。出題傾向が安定するまでの3年程度は、進学塾ごとの取り組みに大きな差が出てくるのではないでしょうか」

開成中高弁論部で、トップの学生たちを熱く指導する神尾氏。長年監督を務めるなかで、改めて今の学生に対し、「思考力・判断力・表現力」の大切さを感じる瞬間はあるのだろうか。

「入試に留まらず、変化が激しい今後の社会では、問題点や対立する価値観について深く“思考”した上で、最も大切にすべきことは何かを“判断”し、相手に自らの主張を“表現”することが強く求められていくことでしょう。 開成中高弁論部では、ディベート(※与えられたテーマに対し、自分の意見とは関係なく機械的に賛成・反対に分かれ、限られた時間のスピーチによって、説得力を争う競技)に取り組むことで、この“思考力・判断力・表現力”を磨いています。こうした能力を身につけた卒業生は、社会や周囲の動きに惑わされず、冷静に状況や将来を見据えた上で、社会人としての判断を積み重ねている様子が見て取れます」

センター試験が廃止され、神尾氏が熱く語るとおり、今後大学受験においても「思考力・判断力・表現力」が問われるようになることは間違いない。そのためには、家庭でも、子どもたちのスキルを引き出すような子育てを…。何事も塾任せにせず、親たちの日々の問いかけこそが、将来に繋がる子どもたちの能力を育むのかもしれない。

(取材・文/蓮池由美子)