(写真提供=SPORTS KOREA)

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韓国スポーツ界の“美しきヒロイン”が現役生活にピリオドを打った。新体操のソン・ヨンジェである。

韓国では来月に新体操・韓国代表を決める選抜大会が行われるが、それに先立ってソン・ヨンジェのマネージメントを担当するギャラクーSM社が、2月18日に「ソン・ヨンジェは選抜大会には出場せず、現役引退することになった」と発表。ソン・ヨンジェも自身のSNSに「わずかな後悔もない」という長文のメッセージを残し、引退することを明らかにした。

日本でソン・ヨンジェといえば、昨年秋から年末にかけて日本のワイドショーでも連日のように報じられた『ヌルプン体操』に出席したアスリートというイメージが強いかもしれない。

“崔順実ゲート”にも関係していた『ヌルプン体操』は、ミス・コリア出身のマッスル美女チョン・アルムなど多くの参加者たちにイメージダウンをもたらしたが、ソン・ヨンジェもそのせいでいらぬ誤解に巻き込まれた。

“韓国新体操界の妖精”を惜しむ声

だが、その愛くるしいルックスと演技中はどこか妖艶さも漂わせるギャップもあって、韓国では絶大な人気を得てきたスポーツアイドルでもある。

韓国では“国民の妹”、“国民の姪”と呼ばれて、“韓国新体操界の妖精”とされてきた。

肝心の競技面でも実績十分。2010年広州アジア大会で韓国に新体操で初めてメダル(銅メダル)をもたらしたことでその知名度が上がり、ロンドン五輪では個人総合5位、リオデジャネイロ五輪では個人総合4位に入るなど、着実に結果を残してきた。

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かつてはあどけなかった少女が、今では成熟した大人の女性の色気を漂わすまでに成長したとして、常に注目の的だった。

そんな彼女が引退を表明しただけに、韓国メディアの論調も惜しむ声が多い。

テレビや新聞、インターネット・メディアなどがいずれもスポーツコーナーのトップで扱っているほどだ。それだけ愛されていたスポーツ・ヒロインだったと言えるだろう。

ただ、その愛情と関心が大きいせいか、何かと論争に巻き込まれたスポーツ・ヒロインでもあった。

例えばフィギュア女王キム・ヨナとの比較だ。

ソン・ヨンジェは一時期、“第2のキム・ヨナ”とも呼ばれていたが、出身校、スポンサー、出演するテレビCMの企業まで何かと比較され、キム・ヨナのファンからは「ヨナの足元にも及ばない」とされたこともあった。

アンチ・ファンも多かった。

前述した『ヌルプム体操』をはじめとする“崔順実ゲート”は、フィギュア女王のキム・ヨナ、“土下座スイマー”の汚名を着せられた水泳のパク・テファン、ロンドン五輪・跳馬の金メダリストであるヤン・ハクソンなど数多くのスポーツスターも巻き込んだが、ソン・ヨンジェは特に激しいバッシングの嵐にさらされた。

崔順実容疑者や朴槿恵大統領と同じ病院に通院していたことや、ソン・ヨンジェや所属事務所社長が、崔順実容疑者の姪で“スキャンダルのの実行役”とされるアラサー悪女チャン・シホと同じ大学出身だったことから、その関係性を疑われ、今年2月に受賞した大韓体育会大賞賞も“コネ受賞”だったと疑われた。

多くのアスリートたちに同情票が集まるなか、韓国の一部ファンやメディアはソン・ヨンジェにだけはなぜか厳しかった。

「それだけ人気があり愛情の裏返しだった」という知人記者もいるのだが……。

個人的にソン・ヨンジェの凄さを感じたのは、彼女が韓国で新体操をエンターテインメントにしてしまったことだ。

ソン・ヨンジェが登場するまで韓国で新体操はメジャーではなかったが、彼女がは競技として新体操をするだけはなく、フィギュアスケートのアイスショーのように彼女の名を冠した新体操の有料ショーを2011年から定期的に開催してきたのだ。

それはいわば彼女のライフワークのようなもので、そこでは新体操の競技では見られない、ソン・ヨンジェの喜怒哀楽の表情を楽しめると評判だった。リオデジャネイロ五輪後の昨年9月にも、韓国では「世界新体操オールスター招待GARA SHOW 2016」が行われた。

くしくもその「GARASHOW」が現役ソン・ヨンジェの最後の見納めの舞台となってしまったが、ソン・ヨンジェは今後も新体操に携わっていくという。

昨年末からはロシア、イギリス、アメリカなどを行き来しながら、後進の育成にも積極的に取り組んでいるらしい。

現在は延世(ヨンセ)大学のスポーツレジャー学科に籍を置く学生でもあり、まだ卒業後の進路は決まっていないようだが、指導者の道に進むにしても、一部のメディアで言われている芸能界への転身をしたとしても、彼女が韓国新体操界に残した功績は、これからも色褪せることはないだろう。

(文=慎 武宏)