日本の美術館初!肖像画で世界的に評価されるエリザベス・ペイトンの個展開催

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エリザベス・ペイトンは、1990年代にミュージシャンや歴史上の人物などを題材に描いた「肖像画」で注目を浴び、現在も各国で高い評価を得ているニューヨーク在住のアーティスト。これまで紹介されることの少なかった彼女の作品を一望できる、日本の美術館初の個展が開催中。同時代を生きる、かっこいい先輩女性の作品にふれるチャンス!

◆同時代のスターから歴史的人物まで。多彩な人々を独特のタッチで美しい肖像画に

品川の原美術館では、2017年5月7日(日)まで、展覧会「エリザベス ペイトン:Still life 静/生」を開催中。今回は、ペイトンの25年にわたる画業を、作家本人が自ら選んだという約40点の作品で振り返るもので、日本の美術館としては初の個展に。

肖像画で知られるペイトンの作品には、親しい友人から歴史上の人物まで多彩な人々が登場する。彼女は、自分にとって“憧れ”の存在や“美”を感じるものを、透明感のある色彩や繊細な線によって表現するので、同時代の人物も歴史的人物も同じような距離感で描かれているのだとか。



「Kurt Sleeping」1995 板に油彩 27.9×35.6 cm Private Collection, New York
(C) Elizabeth Peyton, courtesy Sadie Coles HQ, London; Gladstone Gallery, New York and Brussels; neugerriemschneider, Berlin

特にアーティストやミュージシャンたちの肖像は、新鮮な美しさとかっこよさにあふれている。

例えば写真の作品は、90年代に活躍したロックバンド「ニルヴァーナ」のボーカル、カート・コバーンを描いたもの。「Kurt Sleeping(眠るカート)」(1995年)と題された1枚は、27歳の若さでこの世を去ったロックスターのはかなげな美しさが、まるで聖人画のようにも見える。

◆写真を見ながら、あるいは実物を前に。その人物の情熱や魅力を引き出す作品群

ペイトンは写真を見ながら描くこともあれば、実物を前にして描くこともあるとか。この絵は、90年代から活動するロンドン生まれのアーティスト、ニック・レルフを描いたもので、彼女のポートレート作品集には本人が撮影したニックの写真も収められているそう。

ニックは、ロンドン周辺で花開いたパンクロックなどの若者文化をイメージした作品を発表してきた。同時代を生きるアーティスト同士だから、語り合いながら描いたものかもしれない。そんなことを思いながら、鑑賞するのも楽しそう。



「Nick(First drawing)」 2002 紙に色鉛筆 22.2×15.2cm Collection David Teiger Trust
(C) Elizabeth Peyton, courtesy Sadie Coles HQ, London; Gladstone Gallery, New York and Brussels; neugerriemschneider, Berlin

◆さまざまなインスピレーションから生まれる静物画も。昭和モダンな美術館で肖像画を堪能して

また、静物画や素描では、文学や美術史といったペイトン自身の関心やテーマが、花や本などのモチーフで表現されているそう。例えば美術史やオペラなどをもとに、さまざまなインスピレーションを得て制作された作品も少なくない。

かと思うと、写真のように、暮らしの中で心をとらえた光景を描く作品も。こちらはベルリンで描かれたという何気ない花だけど、透明感あふれる色彩で彩られた姿は、まるで花の肖像画を見るような気分。

90年代、時代に新風をもたらす“新しい具象画”と称されたペイトンの作品は進化を続け、今も変わらぬ美しさと存在感に満ちている。戦前の昭和に生まれたモダンな建築の原美術館で、美しい肖像画を堪能しよう。



「Flowers, Berlin」 2010 板に油彩 25.4×20.3cm Private Collection
(C) Elizabeth Peyton, courtesy Sadie Coles HQ, London; Gladstone Gallery, New York and Brussels; neugerriemschneider, Berlin



TEL:03-3445-0651
東京都品川区北品川4-7-25 原美術館
アクセス:JR「品川駅」高輪口より徒歩15分、京急線「北品川駅」より徒歩8分、都営バス「反96」系統「御殿山」停留所より徒歩3分
会期:2017年1月21日(土)〜5月7日(日)
休館日:月曜日(3月20日は開館)、3月21日(火)
開催時間:11:00〜17:00(祝日をのぞく水曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)

料金:一般1100円、大高生700円、小中生500円

NAOKO YOSHIDA (はちどり)

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