料理の水に海水を使う? #根本きこの島ごはん

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気に入っているショートパスタがある。南イタリアのカンパーニア州グラニャーノにある、「リグオーリ」のトロフィエ。ブロンズダイスで成形された、表面がざらっとしたパスタ。ひと粒が小振りなところも、もちもちした食感も、とても好み。
定番はにんにく&トマトソース。時々、アンチョビを足したり、バジルを刻んで加えたり。白イカや白身魚、貝なども魚介のソースもよく合う。写真は黄色いズッキーニと新じゃがのソース。ズッキーニは緑より黄色が甘くて家族には人気がある。
パスタを茹でるとき、大きめの寸胴鍋にたっぷりと湯を沸かす。蓋をして熱をなるべく逃さないように強火にかける。わーっと沸騰すると湯気がもうもうあがってぐらぐらと振動もするからすぐにわかる。鍋つかみでさっと蓋をとって、もう片方の手で塩をばさっと入れる。
知り合いが、「最近は、料理の水に海水を使っているんだよ」と言った。日頃からワイルドさにかけては右に出るものはいないってくらいの人だけど、思わず「おお!」とうなってしまった。と言っても、塩は海水から作るから、理にかなっているといえばそうなのかもしれない。それに海水だと独特の旨味があって出汁いらずだとか。塩分調整は真水と割っているらしく、その割合の見極めも要なのかも知れない。
そういえば、沖縄の魚料理、「マース煮」は魚を塩水で煮る。マースとは塩のこと。香りづけにイーチョーバー(フェンネル)や生姜を加え、ごくあっさりとした煮汁にする。まるで、海そのもの。
春、海岸ではアーサ(アオサ)が一面うつくしい緑を広げている。遠目で見ると、まるでグリーンのベルベット絨毯のよう。ペリッと剥がして口に含むと、磯の味が溢れて自然の塩味に思わず口角が上がる。

アーサの次はスヌイ、もずくの旬。もずく獲りはたのしいようで、「獲りにいこうよ」とか「たくさん獲ったからあげる」とか、よく話題にのぼる。逗子葉山に住んでいた頃、よく海岸で若布を拾ったなーと、思い出した。だらーんと長い若布をくわえたトンビが飛ぶ浜辺は、今考えるとなかなかの風景だった。
もう少し暖かくなったら、きれいな海岸にキャンプに行き、そこの海水でトロフィエを茹でてみよう。そう決めたら、急に海水を見る目が変わってくる? ような、そんな気がする。

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