睡眠不足の蓄積は、うつから糖尿病まで、あらゆる健康問題と関係していることがわかっています。最近のある研究では、現代の環境が、私たちの体調をいかに狂わせているかを示している他、期待できる解決策も提示しています。それは、ハイキングです。しかも、2〜3日にわたるハイキングに、今すぐ出かけようというものです。

現代の――特にコンピュータ画面や青色光の多い――生活環境が、人間の睡眠習慣に悪影響を及ぼすというのは、ほとんどの人の知るところです。私たちの体は、明るい光を見ると、日中のモードのままになり、質の良い睡眠を支える適切なホルモンが分泌されません。その影響で、どんどん就寝時間がずれ込み、目覚めが悪くなります。ですから、数日間スマホから離れるだけで、自然の昼夜サイクルを取り戻す助けになるという話は、驚くことではありません。

冬のキャンプにも効果はある


さる2月2日、Current Biologyで発表されたある研究で、たとえ週末だけの短いキャンプをしただけで、人間の狂った体内時計が大幅にリセットされることがわかりました。また、その効果は、たとえ真冬でも認められたのです。

この論文は、同研究チームが先に行った研究の追加実験の結果を報告するものです。当初の研究報告は、夏季の1週間のキャンプで体内時計が4時間も進んだというものでした。これは、たとえば、体が午後11時を就寝時間と認知しているある人が、星空の下で7晩を過ごすと、7時には眠くて仕方がなくなる、ということです。

「メラトニンの分泌量が増えたときが、その人の体にとっての夜ということなのですが、驚いたことに、そのリズムが、キャンプの最終日までに、野外の自然の暗さとぴったり一致するようになっていました。被験者の体にとっての夜の始まりと終わりが、日没と日の出と合うようになったのです」。『Popular Science』にこう説明してくれたのは、論文の筆頭著者であるコロラド大学ボルダー校のKenneth Wright博士です。

Wright博士によると、このようなことは、現代の生活では、単にあり得ないそうです。ちなみに、 あなたが最後に、日没と同時に寝たのはいつでしょう?

Wright博士と研究チームが今回調べようとしたのは、この効果が、他の季節ではどの程度の効力をもつのかということです。日照時間が短い冬のあいだ、人間以外の動物は、体にとっての夜が長くなります。夏なのに都会の環境で家に閉じこもることが調子を狂わせるのはわかりますが、日照時間の短い冬に、森の中で電気のない暮らしをしても、違いは出るのか? それを調べるために、研究チームは、5人の勇気ある有志を、寒さの中、1週間のキャンプ生活に送り出しました。もちろん、その前に、彼らの普段の睡眠習慣と日光を浴びた量を観察しました。

「キャンプ中、彼らが浴びた光は、太陽と、月、星の光、そしてキャンプファイアだけでした。しかし、活動に関しては、なんの制約も課しませんでした。ハイキングをしたり、薪を集めたりと、好きなことをしてもらいました。対照時期である、キャンプ前の週は、通勤・通学などで家を出入りし、就寝時間はまったく自由でした」

Wright博士のチームが、キャンプ前と後の被験者の体内時計を比較――24時間分の血液サンプルを摂ってメラトニン分泌量を測定――した結果、キャンプ後は、2時間半ほど早く、体が寝る準備を始めるようになったことがわかりました。また、被験者たちは、キャンプ前も頻繁に野外に出てはいたのですが、キャンプ中はなんと、その13倍の光を浴びていたことがわかりました。冬のあいだの自然光は少なくて弱いイメージですが、それでも現代生活は、それとは比較にならないほどの日光暴露の機会を奪っていたのです。

「夜、目に入ってくる人工の光が体に悪いという話は多くの人がよく話題にしていますが、私たちは、日中に浴びる光が少なすぎることも、自然の睡眠パターンに同等の悪影響を及ぼすと考えています」とWright 博士は言います。

睡眠スケジュールをもう少し自然に近づけるために、冬の太陽の下で1週間を過ごすなんて、割に合わない感じがするかもしれません。でも、あきらめないでください。この研究には、もう1つのパートがあり、夏に、週末だけキャンプに行かせるという実験も行ったのです。その実験では、家でいつもどおりの睡眠スケジュールでいつもどおりの週末を過ごす対照群と効果を比較しました。家で過ごした被験者たちは、週末は、平日よりも夜更かし(と朝寝坊)をし、体内時計が遅れ、月曜日に不調を感じる傾向がありましたが、キャンプ参加者たちは、以前夏に丸1週間キャンプした際の69%のリセット効果を達成したのです。

「私たちの体は、こうした変化に非常に素早く反応するようです」とWright博士は言っています。

もちろん、その素早さは、双方向に働きます。つまり、2〜3日間、電子機器から離れて過ごした効果は、家に帰ったとたんに消え始めるということです(ただし研究チームは、被験者が元の悪習慣に戻るまでの時間は記録していません)。しかし、アウトドアタイプの休暇と、いくつかの生活習慣の改善を組み合わせて起爆剤にすれば、新しい習慣を続けることができるかもしれません。生活習慣の改善とは、具体的には、日中野外で過ごす時間を増やす、ある時間を過ぎたら電子機器の画面や明るい光を見ない、睡眠スケジュールをできるだけ自然の昼夜サイクルに合わせる、といった努力です。

Wright博士は、今回の結果がきっかけとなって、より大規模な研究が行われ、この発見を裏付けてくれること、また、健全な睡眠スケジュールを支えるためには、どのような生活習慣の改善が最も効果的かという研究につながってくれることを願っています。

「これは非常にホットなテーマなのです。リセット効果を得た後、どうすればそれを維持できるかを突き止めなければなりません。現代の生活に、どの程度の自然光を取り入れる必要があるのかを特定する必要があります。


Want to fix your sleep schedule? Go camping this weekend.|POPULAR SCIENCE

(Rachel Feltman訳:和田美樹)
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