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 米国の大手百貨店であるノードストロームが2月2日、トランプ氏の長女であるイヴァンカさんの名前のついたブランドの販売を中止することを明らかにしました。

 これに対し、トランプ大統領はツイッターで8日、ノードストロームを批判。イヴァンカさんがフェアでない扱いを受けているとしました。これについては大統領という立場の人間が、家族の利益のために特定の会社の批判をすることはどうなのか、疑問視する声も上がっています。

 トランプ氏に批判されたノードストロームですが、イヴァンカさんのブランド販売中止決定は政治的なものではなく、あくまで売上が落ちているのが理由としています。中でも16年後半より販売減少が続いていたとしています。

 ではなぜ、ノードストロームにおいてイヴァンカさんのブランド販売が落ちたのでしょうか。ここでは、2つのポイントについて考察してみようと思います。

1.一発で「トランプ」関連商品だとわかるブランドが長所であり短所にもなった
2.ノードストロームがトランプ関連商品を扱っているとし、不買運動の標的にされた

◆トランプ関連商品であることがわかりやすかった

1.一発で「トランプ」関連商品だとわかるブランドが長所であり短所にもなった

 イヴァンカさんのブランド販売がノードストロームにおいて落ち込んだ理由の1つ目として、「トランプ」の名前が前面に出ているブランド名が原因ということが考えられます。要は、誰でも一発でそれがトランプ関連商品であると分かるわけです。

 トランプ氏が大統領になったことで、「トランプ」ブランドの知名度は向上しました。しかし、一方で、「アンチトランプ」層というものを生み出しました。

 イヴァンカさんは大統領選の期間中からメディアへの露出も多かった。元モデルのルックスも重なり、「イヴァンカ・トランプ」といえば、多くの米国人がトランプ氏の娘だと認識するようになりました。

 かわいいから商品を手にとって見た。でも、「イヴァンカ・トランプ」ブランドであるとわかった時点で、やっぱり別の商品を買うことにした。商品自体はいいんだけれども、「トランプ」とついているのがちょっとな。米国人と話してみると、意外とこのようなロジックで商品の購入を見送った人が結構いると気づきます。

 もちろん、トランプ氏が大統領になった後、イヴァンカさんは自身のファッションブランドの経営から一歩退くということを発表しましたし、イヴァンカさんとトランプ大統領の政治的発言は別物。よって、かわいければ「トランプ」とついていようが買うという人もいます。しかし、そのようには考えない人がいるという事実は見逃せないでしょう。

◆販売店が不買運動リストのトップ10入り

2.ノードストロームがトランプ関連商品を扱っているとし、不買運動の標的にされた

 トランプ関連商品への不買運動というのがあります。トランプ関連商品を売っているデパートなどが名指しされ、どういったトランプ関連商品が売られているのかなどが記述され、不買運動の標的にされるのです。

 イヴァンカさんのブランド販売中止を発表したノードストロームもこの不買運動の標的となりました。もともとイヴァンカさんとつながりが強かったノードストロームは、不買運動のターゲットとなる会社の中で、トップ10入りを“果たした”のです。

 このような影響もあり、ノードストロームでのイヴァンカさんのブランド販売は減っていったと考えられます。

 なお、イヴァンカさんのブランドの販売を中止したのはノードストロームだけではありません。例えばニーマン・マーカスやShoes.comもそうです。表向きは売上が減っているというのを理由としてあげるかもしれませんが、その裏には、イヴァンカさんのブランドを販売することでの「デメリット」の存在もあることを認識する必要があるでしょう。

◆トランプ氏に批判されてもノードストロームの株価は上昇

 不買運動トップ10リスト入りしていたノードストロームでしたが、イヴァンカさんのブランド販売停止発表により、その名前が不買運動トップ10のリストから削除されることに。

 7日のトランプ氏によるノードストローム批判にも関わらず、8日にノードストロームの株価は4%の値上がりを見せました。

 トランプ氏の発言による株価の変化もそうですが、それと同じく、反トランプ派の考えや動き読む必要性があるといえるでしょう。

<文・岡本泰輔>

【岡本泰輔】
マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。