米首都ワシントンで撮影されたiPhoneの画面(2013年1月14日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】政府機関関係者がメディアに情報をリークした場合は処罰も辞さないとドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が警告する中、匿名で情報を共有できるテクノロジーツールへの関心が高まっている。

 そうしたツールの一つで、米国内外の少なくとも30の報道機関で使用されているオープンソースシステム「セキュアドロップ(SecureDrop)」はサーバー上でデータが暗号化され、情報源は匿名で情報を発信できる。

 このツールを作成した非営利組織(NPO)「報道の自由基金(Freedom of the Press Foundation)」のトレバー・ティム(Trevor Timm)事務局長はAFPに対し、「ネット上に痕跡を残さずに情報を共有できるセキュアドロップへの関心が、ここ2か月で爆発的に高まっている」と話した。「米大統領選以降、報道機関などでは内部告発者からの情報をより安全に受け取る方法を緊急に必要としているようだ」

 メディアへの漏えい源はさまざまだが、1月20日に大統領に就任したトランプ氏は、政府関係者による機密情報の漏えいは「犯罪」だと非難し、リークを行った人物は処罰すると明言している。

 しかしティム氏は、昔からメディアへのリークには、選挙で選ばれた公職者に責任を課し、真相を明らかにする重要な意義があったと主張。国家安全保障問題担当大統領補佐官だったマイケル・フリン(Michael Flynn)氏がトランプ政権発足前に対ロシア制裁をめぐって駐米ロシア大使と接触していた件に関してうそをついていたことが発覚した件は重要な一例だとティム氏は言う。

 同氏は専門誌「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー(Columbia Journalism Review)」への記事をブログに投稿し、「リークによって、政権に対してひどい政策を撤回するよう世論が圧力をかけられるようになるだけではなく、トランプ政権内部の人々にさえ情報を提供できる」と述べている。

■アプリでのリークは大統領記録法に違反する恐れも

 それぞれのリークの方法は明らかになっていないが、AP通信(Associated Press)や米調査報道サイト「ジ・インターセプト(The Intercept)」といった報道機関が、セキュアドロップを使用していることを認めている。

 ジ・インターセプトのベッツィー・リード(Betsy Reed)編集長は、「ジャーナリストに協力し、内部告発を行うことに多大なリスクが伴う可能性のある現在の政治環境では、(内部告発者の)保護という観点からこのツールの提供には意味がある」と話す。

 またリード氏は、情報の流れを制御しようとしているトランプ政権下で、メディアはいっそう内部告発などの情報源に頼るようになるだろうと予測し、「(取材源に接近するために報道姿勢や内容を妥協する)アクセスジャーナリズムは廃れ、内部告発報道が盛んになる時代が来るだろう」と主張する。

 一部の報道機関の編集部では安全が確保されるチャットアプリ「シグナル(Signal)」を使っている。また、「コンファイド(Confide)」というアプリには、メッセージアプリの「スナップチャット(Snapchat)」にヒントを得て、送信したメッセージが読まれると消える機能があり、これも人気を集めている。同アプリについて、開発を担当した企業「コンファイド」の共同創始者ジョン・ブロッド(Jon Brod)氏は「直接会って行う会話のデジタル版」だと表現する。

 一方で、政府関係者らによるこうした私的な情報通信路の使用は、米大統領選の民主党候補だったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官の私用サーバー使用で浮上したのと同様の問題を生じさせる。

 米ブルッキングス研究所(Brookings Institution)のスーザン・ヘネシー(Susan Hennessey)研究員らは、「ホワイトハウス(White House)の公務をこうした方法で行うことは、政権首脳部や政府高官のあらゆる通信や記録の保存を求めている大統領記録法にほぼ確実に違反する」と指摘している。
【翻訳編集】AFPBB News