丸井錦糸町店に期間限定でポップアップショップを出店したUPQの中澤優子CEO代表取締役

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 バイイングパワーに幅を利かせた大手家電流通の仕入れ交渉に疲弊する国内家電メーカー。しかし、メーカー衰退の一因ともいわれる従来の構図とは異なる、新しいメーカーと小売りの関係が生まれつつある。

 家電スタートアップのUPQ(アップキュー)は2月2日から12日までの11日間、丸井錦糸町店の改装前の「マルイサンクスバザール」で、期間限定のポップアップショップ「UPQ Store」を展開。UPQにとって丸井への出店は初だった。企画した同店営業担当の原田恵里リーダーは「来店するお客様がワクワクするような商品を展示したかった」と語る。

 JR錦糸町駅の南口正面に位置する丸井錦糸町店は1983年9月に開店した歴史ある店舗で、地元の幅広い年齢層の顧客が日常的に利用するほど地域に根付いている。「長年ご利用くださっているお客様に、最先端の家電を紹介して、実際に触って体感してもらいたかった」と原田リーダーは企画の狙いを語る。

 「サンクスバザール」とはいえ、単に安さだけを訴求するのではなく、新しいネットワーク家電やIoT家電の体感を軸に据えたコーナーづくりをした。Bluetoothヘッドホンやスマートフォン(スマホ)が充電できるUSBバックル付きバックパック、ワイヤレスのガラス製タッチキーボード、スマホで点灯・消灯できる電球など、UPQの製品をすべて見られるようにした。こうすることで、普段とは異なる客層の新規客が来店する効果も生まれた。

●電動バイクが完売、追加生産を決定



 もちろん、昨年夏に発売して話題になったモバイル電動バイク「UPQ BIKE me01」も展示。タイミングよく2月5日にテレビの情報番組で紹介されたこともあり、「静岡から新幹線に乗って購入しにきてくださったお客様もいたほど。バイクは2月5日に完売して、すぐに追加生産を決定しました」とUPQの中澤社長も反響の大きさに驚いた。

 「バイクは税別で12万7000円もするので、さすがにネットで見るだけではなく、実際に触って確かめてから購入を決断するお客様が多い。UPQが扱う、これまでになかった新しいジャンルの製品だからこそ、リアル店舗での体感の重要性を感じる」と中澤CEOは店舗のメリットについて語る。

 UPQにとって丸井とのコラボは、自社の製品を同じスペースに群で展示できるメリットもあった。UPQの世界観やブランドイメージをしっかりと伝えることができる。家電量販店などでは、テレビやスピーカー、キーボードなど、カテゴリ別に売り場が分かれているので、なかなか群で展示することは難しい。

 今回、UPQと同じようなスタートアップが集うDMM.make Akibaから、no new folk studioのスマートフットウェア「Orphe(オルフェ)」も一緒に展示。ステップを踏むと、自分でスマホで設定したプログラムに沿って靴底が光ったり、スマホのスピーカーから音楽が流れたりする、IoT対応シューズだ。

 中澤CEOはこうした製品を「棚のない製品」と呼ぶ。家電量販店のどの棚に展示すればいいのかわからない製品だ。

 今後、こうした「棚のないIoT製品」が続々と登場してくると、実際の体感や、納得して購入するための「気づき」が得られるリアル店舗の重要性は増す一方だろう。メーカーと小売りの新しい関係への期待が膨らむ。(BCN・細田 立圭志)