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人間の目は焦点を合わせる部分がはっきり見え、周辺部分はぼやけて見えるように作られていますが、同じシステムを3Dプリンターで出力した極小レンズを組み合わせて作ることに、ドイツの研究者が成功しています。

3D-printed eagle eye: Compound microlens system for foveated imaging | Science Advances

http://advances.sciencemag.org/content/3/2/e1602655

シュツットガルト大学のSimon Thiele氏らの研究チームが開発した、3Dプリンターで作った極小のレンズを組み合せて人間のような画像処理をするシステム「Compound microlens system」の仕組みは、以下のムービーを見ればよくわかります。

Eagle-eyed lenses - YouTube

これが人間の目と同じような機能を果たす視覚システム「Compound microlens system」です。



センサーに直接、極小のレンズが取り付けられています。



この小さなレンズは、周辺部分に対して中心部分でより高解像度の画像を撮影できるように設計されています。



人間の目も同じような構造を持っており、目には高解像度な中心視野に関係する「中心窩」と呼ばれる光の受容体があります。周辺視野に比べて中心視野をより高解像度に撮影するという人間の目と同様の機能を持たせるのがCompound microlens systemのアイデア。



視野の範囲が広い場合は低解像度の画像を認識し……



中心部分はより高解像度な画像を記録します。



切り取る範囲と解像度の異なる複数のレンズを組み合わせて一つの画像を同時に生成することができるというわけです。



切り取る範囲・解像度の異なるレンズで同じ画像を撮影する様子を比較するとこんな感じ。



極小レンズには焦点距離を変えるために4枚のレンズが組み込まれています。極小サイズのレンズを立体的に組み立てるために、3Dプリンターを使ってレンズは製造されます。



3Dプリンターならば低解像度だけれど広角なレンズや視野角が狭いけれど高解像度なレンズなど、種類の異なるレンズを自在に作ることが可能。複数の画像はデジタル処理で合成されます。



普通のレンズで撮影する様子。これに対してCompound microlens systemで撮影すると、同心円状に解像度の異なる画像ができあがります。



Compound microlens systemのカメラは、視覚情報をすばやく認識することが求められる自動運転カー用のカメラとしての活用が期待されています。



面積が300マイクロ平方メートルのレンズは、わずか数十マイクロメートル間隔で組み合わせられるとのこと。3Dプリンターではないとできない芸当です。



製造にかかる時間など解決すべき課題があるCompound microlens systemカメラですが、素早く、高精細なレンズを求める技術者には最適なシステムになると期待されています。



Compound microlens systemを使ったレンズシステムでは、画像の中心にだけ集中的な処理が求められるという性質上、従来の画像処理に比べると低電力かつ高速な処理が実現できるとのこと。このため、刻一刻と変わる状況に対応することを求められる自動運転カーのビジョンシステムなどへの応用が期待されています。また、虫のサイズの極小ドローン用などの極小の視覚システムに応用することも検討されています。