グローバリズムには大きなメリットがあるというのも紛れもない事実だと語るモーリー氏

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『週刊プレイボーイ』本誌で「モーリー・ロバートソンの挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが世界を混乱させているトランプ現象を、84年にアメリカで公開された映画から見るグローバリズムについて語る。

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1984年にアメリカで公開された映画『Repo Man(レポマン)』をご存じでしょうか。全米、いや世界を大混乱させているトランプ現象について考えていたら、ふと、この映画のことを思い出しました。

レポマンとは、自動車ローン滞納者のクルマを力ずくで回収するチンピラ稼業。LAに住むうだつのあがらない無職のパンクス青年が、中年のレポマンに“仕事”を教わりながら人生の厳しさを学んでいくというB級青春ムービーなのですが、印象的なのは、中年レポマンがパンクス青年にこう語りかけるシーンです。

“An ordinary person spends his life avoiding tense situations. A repo man spends his lifegetting into tense situations.”(普通の人間はヤバイ状況を避けて人生を送る。レポマンはヤバイ状況に自ら飛び込んで生きていく)

要するに、「つまらない人生を送りたくないならリスクを取れ!」という話。当時、この映画を見たアメリカの若者たちの多くは、ある種の人生訓としてこの言葉を受け止めました(僕もそうです)。

しかし今、50歳前後になった僕と同世代の、かつてこのセリフに心震わせた元パンクスたちが、グローバリズムがもたらす恩恵(多様なニーズが満たされる、自由な働き方やライフスタイルを追求できる、など)を無視し、ただただそのリスクに対して怒りの声を上げている。なんとも残念な気持ちです。

自分が苦しいのは移民や外国のせい。悪いのは社会や政治。そうやって“諸悪の根源”を他者に求め、ひたすら責任を転嫁し、排外的なリーダーに依存する。怒りを爆発させるその手に握られたスマホには、事実ですらない「フェイクニュース」が表示されている……。理想の世界を追求した最初期の“グローバリズムの設計者たち”は、こんな世の中になるとは想定しなかったでしょう。

もちろん、グローバリズムを悪用する多国籍企業を擁護したいわけではありません。バランスを度外視した徹底的なコストカットで利益を極大化し、租税はできる限り回避するなど、ルールすれすれのフェアではないやり方で世界の富を強奪していったのは大きな問題です。

ただし、グローバリズムには大きなメリットがあるというのも紛れもない事実です。重要なのは、その恩恵をフルに受けるための条件があるということ。それは「新しいスキルを追い続ける」ことと、「変化に順応する」ことです。

“設計者”たるスーパーエリートたちは、誰しもそれくらいの努力はするはずだと思っていたでしょう。しかし、多くの人々は彼らの想像よりずっと保守的で、昨日と同じ明日を望んだ。その結果、急速な変化に順応できない人たちが“アングリー・モブ(怒れる群衆)”と化した―。

“レポマン世代”の人々がいまさら変われないのはともかく、この時代に若い人が自堕落であり続けるのは本当に損です。少なくとも20年前、30年前に比べれば、人生を好転させるチャンスはあちこちに転がっている。近い将来、欧米から一歩遅れて日本が本格的なグローバリズムの波にのみ込まれたとき、あなたはアングリー・モブになりますか? それとも、ヤバイ状況に飛び込んで力強く生きるレポマンになりますか?

●Morley Robertson(モーリー・ロバートソン)

1963年生まれ、米ニューヨーク出身。国際ジャーナリスト、ミュージシャン、ラジオDJなど多方面で活躍。フジテレビ系報道番組『ユアタイム〜あなたの時間〜』(月〜金曜深夜)にニュースコンシェルジュとしてレギュラー出演中!! ほかにレギュラーは『NEWSザップ!』(BSスカパー!)、『モーリー・ロバートソン チャンネル』(ニコ生)、『MorleyRobertson Show』(block.fm)など