この新しい技術による電池は、800回の放電・充電を繰り返してもその最大容量を維持できるという。

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 東北大学と大阪大学の共同研究グループは、半導体や太陽電池を作るときに出る産業廃棄物のシリコンの切り屑(切粉)を加工し、従来の黒鉛を用いたリチウムイオン電池より高容量で寿命も長いリチウムイオン電池を作る技術を開発した。

 リチウムイオン電池は現在、様々な用途に用いられているが、最も日常生活に馴染みのある用途は、携帯電話・スマートフォンのバッテリーだ。携帯用バッテリーの容量は製品の開発にあたり重要なアピール点となり、また消費者のニーズの上でも重要な要素であるため、従来の、黒鉛を用いた電池の実に3.3倍もの容量を実現する今回の新技術は、単に地球環境問題に益するのみならず、広く人々にとって福音となるであろう。

 シリコンの切粉であるが、現状では産業廃棄物として処分する以外に処置のしようはないという。しかし、何しろ太陽電池も半導体も需要は極めて高いため、切粉の出る量も尋常ではない。理論的には、世界で生産されるすべてのリチウムイオン電池をすべてこの新技術によるものに置き換えても、まだ余るというから、結構な話である。

 ちなみに、シリコン切粉をどうするのかというと、ナノ単位にまで細かく粉砕し、炭素と混ぜ合わせるらしいが、いずれの工程においても高度な技術などは必要なく、従来の簡便な技法で十分に大量加工が可能であるという。つまり、この技術が普及すれば、特にコストアップを引き起こすこともなく携帯のバッテリーは高性能化し、産業廃棄物だったものは有効活用され、よいことずくめというわけである。

 さらに、リチウムイオン電池の有力な用途はもう一つある。電気自動車のバッテリーである。現状、ハイエンドクラスの電気自動車で満充電の走行距離がだいたい500キロメートルくらいなわけであるが、(そう簡単にはいかないかもしれないが)これが3.3倍になるとしたら、EVの世界においてもまさに革命が起こるといえよう。

 なお、この研究の成果は、英国のScientific Reports誌のオンライン版に掲載されている。