韓国・ヘラルド経済は、1992年の導入から25年を迎えた「模範タクシー」が大きな壁にぶつかっていると伝えた。写真は韓国の一般タクシー。

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韓国に一度でも個人旅行をしたことがある人なら、「模範(モボム)タクシー」の名を聞いたことがあるのではないだろうか。一般タクシーに比べ料金は高いが、国の基準を満たした運転手のみが営業できるいわば「お墨付き」で、初心者でも比較的安心して利用できるとしてガイドブックなどで勧められていることも多い。しかしこの模範タクシー制度、1992年の導入から四半世紀を迎えた今、大きな壁にぶつかっているようだ。韓国・ヘラルド経済が、「模範タクシー 25年」のシリーズ記事で「『模範』の涙」と題し伝えた。

ある日の午後、首都ソウルのターミナル・ソウル駅前の広場。一般と模範に分かれ設置されたタクシー乗り場では、模範タクシーの運転手らが集まり世間話を交わしている。一般タクシーには客が次々と乗り込んでいくが、「模範」には2時間待っても1人の客も現れないのだ。運転手らによれば、「模範」をよく利用していた日本や中国からの観光客が減った影響などで、ここ3年ほどで客は半分近くに減ったという。

模範ドライバー歴25年のベテラン、チョン・ウノクさん(70)は、「こざっぱりとした制服姿で大型のセダンを運転する姿が、一般タクシーの運転手からうらやましがられたし、自分のプライドにもつながっていた」と、10年ほど前を懐かしく回想する。繁盛した日には1日20万ウォン(約2万円)ほどの利益を妻に持ち帰り、この仕事だけで家を買い、子どもを大学までやってきた。

しかし今や、ソウル市内の模範タクシーでも1日2〜3組の客を乗せられればいい方だとチョンさんは話す。とても家族を養うほどの収入は見込めないため、一般タクシーに乗り換える運転手はいても、新たに模範ドライバーになろうという若者はいない。現在、ソウル駅前広場を拠点とする模範ドライバーは最も若い人でも65歳ほどで高齢化が著しい。

苦境に立たされた模範タクシーの将来について記事は懸念を含め報じたが、韓国のネットユーザーに「模範派」は少ない。コメントをみると、「まず一般タクシーとの違いが分からない。値段が高いだけ」「一般でも模範でも渋滞にはまるのは同じこと。あえて高い方に乗る必要はない」「一般ドライバーよりマナーが良くてレベルも高いかと思ったのに、実際には一般と同じで当たり外れがある。模範に乗るメリットがない」と、利用者の本音がうかがえる。また「とにかく高過ぎる。酔っ払って間違って乗ると、ぼったくりに遭った気分だ」「料金メーターが恐ろしくて模範には乗れない」「あの高い料金設定で、もうからないと文句だけ言うのはどうなの?」と、料金に不満の声も多い。

さらに、「ドライバーが70代というのはさすがにまずいのでは?。高齢ドライバーの規制が必要だと思う」「70も過ぎて欲が深過ぎる。もう引退した方がいい」「運転手がみんな70歳を超えてるなんて、不安で乗れません」など、ドライバーの高齢化に不安を訴えるコメントも多く寄せられた。

模範タクシーのドライバーには、一定以上の無事故運転歴はもちろん、外国語の能力なども求められるという。韓国を訪れる外国人観光客には心強い味方のはずだったが、今後安定的に運用が続けられるかどうかはかなり不透明と言わざるを得ないようだ。(翻訳・編集/吉金)