「Thinkstock」より

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 確定申告のシーズンがやってきた。税金を天引きされている会社員にとっては、「毎年、タレントが『申告しましょう』とCMで呼びかけているイベントだよな」程度に思うことだろう。

 しかし、税制に関心を持つことは生活防衛にもつながる。もっと下世話に言えば、たとえ会社員でも、払う税金をより少なくできれば、その分給料を目減りさせずに済むのだ。確定申告はそのためにも有効な手段だと言えば、関心が湧くだろうか。

 確定申告の目的は、ざっくり言えば、税金がかかる元になる1年間の所得を「申告」し、納める所得税を「確定」するというものだ。会社員の場合は、勤務先が見込みで税金を毎月の給与から天引きし、さらに「年末調整」の際に税額を計算し直して、払い過ぎた分は戻してくれる。

 しかし、たとえば年の途中で会社を辞め、その後再就職していない場合は、それまで天引きされていた税金を納め過ぎている可能性が高いため、確定申告をすれば税金が戻る可能性がある。

 特に、面倒くさくて生命保険会社から届いた「生命保険料控除証明書」を勤務先に提出しなかった人、年間の医療費が10万円以上かかっている人は、きちんと確定申告をしたほうがいい。

 さらに、ふるさと納税を6カ所以上の団体に行った人、5団体以下でも医療費控除などをする予定があれば、あわせて申告が必要だ。なお、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用して確定申告不要の手続きをしたつもりでも、うっかり自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を出し忘れていると、やはり自分で申告しないと節税の恩恵を受けることはできない。

●確定申告で所得税が安くなると住民税も減る

 これらの申告をする目的は、税金がかかる元となる課税所得を少なくできるからだ。所得税の額は、所得に税率をかけて計算される。つまり、所得が少なければ少ないほうが税率が低くなり、税金も減るわけだ。

 この所得は、年間の収入(いわゆる「税込み年収」)から「控除」と呼ばれるお金を引いて決まる。「控除」と名のつくお金をたくさん引くことができれば、所得を少なくすることができ、結果的に税金も安くなるというわけだ。

 このように、確定申告をすると所得税の額が決まり、さらに住民税の額も決まる。その結果、納め過ぎていれば、所得税からは還付金が戻り、住民税も計算し直されて少なくなるわけだ。ご存じのように、会社員の場合は住民税は毎月の給与から天引きされている。住民税が減るということは毎月の手取りが増えるわけで、少額でも減る可能性があるなら、きちんと確定申告を行ったほうがいいだろう。

●確定申告の落とし穴と得するポイントとは?

 ふるさと納税の話を繰り返すが、妻が手続きしている場合は確認が必要だ。ふるさと納税をした人は税金が安くなるが、そもそも妻が税金を納めていない場合は、その恩恵を受けることができない。夫が代わって恩恵を受けることはできないのだ。そのため、確定申告をする前に、自治体から受け取った寄付金受領証明書に記載された名前を確認したほうがいい。

 それとは逆のケースが、医療費控除をする場合だ。医療費控除は、同居する家族や仕送りをしていて生計を一と認められる親族の分も合算することができる。合算した医療費が年間10万円以上(所得が200万円未満の人は、払った医療費が所得金額の5%以上)の場合、その10万円を超えた金額を申告できる。

 ただし、保険の給付金などを受け取った場合は、それを引いた残りの金額が10万円以上ということになるが、親元を離れている子どもの医療費や仕送りをしている老親の分も合算すれば、けっこうな金額になるケースもあるだろう。

 確定申告で医療費控除を受けるには、病院や薬局から受け取った領収書が必要になるので、家族にもなくさず保管しておくように伝えておくことが大事だ。なお、一般の市販薬でも、風邪薬、花粉症の薬、湿布薬など治療目的なら控除の対象になる。ビタミン剤やサプリメントなどは含まれないため、「治療は〇、予防は×」とざっくり覚えておくといいだろう。

 2017年からは医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」が新しく始まったので(申告できるのは18年から)、いずれにせよ、医薬品の領収書は捨てずにとっておこう。

●源泉徴収票で自分の課税所得&税率がわかる!

 さて、あなたは自分の税率をご存じだろうか。所得税率は、所得に応じて5〜45%までの7段階に分かれている。課税所得が195万円以下なら5%、195万円を超え330万円以下なら10%、330万円を超え695万円以下なら20%で、多くの現役世代はこのゾーンに含まれるのではないだろうか。

 しかし、残念ながら、源泉徴収票にも自分の税率がいくらかという数字は書いていない。それどころか、課税所得がいくらなのかも記載がないのだ。実に不親切で、国は各人に税率を知らせたくないのかと思うほどだが、仕方がないので自分で計算するしかない。

 手元に源泉徴収票があれば、それを取り出してほしい。上部の真ん中あたりに、「給与所得控除後の金額」という欄がある。その隣に「所得控除の額の合計額」があるだろう。「給与所得控除後の金額」の数字から、「所得控除の額の合計額」の数字を引くと、それがその時点での課税所得だ。その数字を、前述した所得の段階に当てはめれば、自分の税率がわかる。695万円を超える所得がある方は、申し訳ないが国税庁のホームページで確認してほしい。

 この税率は、節税効果と密接な関連がある。税率が大きい人ほど税額が高い、つまり節税できる金額も大きいからだ。前述した医療費控除では、夫婦共働きでどちらも税金を払っている場合は税率が高いほうが申告をしたほうがいい。さらに、今後さまざまな節税メソッドを学ぶ際にも、自分の税率を知っておくと話が早い。

 呪文のような言葉ばかりが並ぶ源泉徴収票だが、年に一度じっくり向き合って、自分の課税所得と所得税率を計算しよう。自分の税を知らないと、そもそも効率のいい節税はできない。確定申告をきっかけに自分の税金を知り、少しでも給料の目減りを防ぐ情報に敏感になろう。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)