人間の脳とコンピューターが、近い将来直結されるというビジョン。

先週ドバイで行なわれた世界政府サミットで、テスラのイーロン・マスクCEOが人間と人工知能の将来の関係を語りました。「人工知能が人間の仕事を奪う」って懸念は前々から言われていますが、マスクに言わせれば杞憂にできるみたいです。CNBCによれば、彼はこんな風に語りました。

これから時間とともに、生物的インテリジェンスとデジタルインテリジェンスのより密接な融合が起こると思っています。課題になるのは主に帯域幅、つまりみなさんの脳とみなさん自身のデジタルバージョンの間をつなぐ速度、特にアウトプットの速度なのです。

マスクの考えでは、人間のアウトプット速度は機械に比べてまどろっこしすぎるみたいです。彼は機械のコミュニケーション速度が「毎秒1兆ビット」に及ぶのに対し、人間は最大でも「毎秒10ビット」程度だと説明しました。具体的にいえば、スマートフォンで検索すれば膨大な情報が一瞬で手に入るけれど、検索する前段階で、スマートフォンを手に取ったりアンロックしたり文字入力したり、といった人間の操作に時間がかかってしょうがないってことです。

でも人間の脳とコンピュータを直結してしまえば、「検索したい」と思っただけで即座にコンピュータを操作でき、人間のちんたらした動きをスキップできるというわけです。いわく、「機械に勝てないなら、それになってしまえばいい」ということですね。マスクはそんな環境を実現することで、人工知能にまつわる諸問題も回避できるかもしれないと言っています。

脳に対する広帯域幅のインターフェースが実現できれば、人間と機械のインテリジェンスは共生できるようになるでしょう。コントロール問題や利便性問題も解決されるかもしれません。

コントロール問題とは、人工知能が人間をだますなど、人間にとってコントロール不能になってしまうのではないかということです。かといって人工知能にできることを制限しようとするとその価値を活用できない、というのが利便性問題です。たしかに、人工知能をあくまで人間の能力を最大化するために使うのであれば、暴走する心配もなくなるのかもしれません。

マスクは以前から、人間のアウトプットは遅すぎるから脳に直接コンピュータをつないじゃったほうがいい、と主張していました。2016年6月のRecodeのカンファレンスで、彼は「人間はすでにサイボーグである」と言い、人間の脳とコンピュータを直結する「ニューラル・レース」(neural lace、直訳:神経のひも)によってその効率を高められると言っていました。



そして今年1月には、ニューラル・レースについて何らかの発表を2月に行なうかもしれないとツイートしています。




そのうちテスラの車は、「ビーチに行きたいな」とか思うだけで逗子あたりまで連れてってくれるようになるんでしょうか。でもその場合、会社に行かなきゃいけないのに遊びに行きたくて仕方ない場合どういう動作になるのか…という妄想はさておき、マスクがどんな構想を打ち出してくるのか楽しみです。


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image: CNBC
source: CNBC, Record - YouTube, Twitter

(福田ミホ)