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●AIタクシーは何を実現するか
乗りたいタイミングですぐに乗れたらとても助かる。タクシーの話である。しかしながら、需要と供給はマッチしない。だから乗りたいときに乗れないし、乗ろうと思わなくなる。そんな課題をNTTドコモらが人工知能を活用した「AIタクシー」で解消しようとしている。実験結果を聞くと、なかなかすごいのだ。

○AIタクシーが変える未来

どこに行けばお客を拾えるか――。ベテランドライバーならまだしも、駆け出しのタクシードライバーには頭の痛い問題だ。だが、AIタクシーなら悩むことはない。タブレットを通じてお客の居所を知らせてくれるからだ。

AIタクシーでは、タブレット上の地図にはいくつもの数値が表示される。この数値は、該当エリア内における30分後のタクシー需要を示しており、情報は10分ごとに更新される。数値が高いほど需要が高く、客待ちのドライバーは、ゼロのエリアに向かうよりも、数値の多いエリアで営業したほうが効率がいいわけだ。

お客にとっても、メリットがある。乗りたいときに近くにタクシーがいる機会が増え、待ち時間の短縮につながったり、電車遅延などイレギュラーな状況へも対応するという。

○神がかった技術のカラクリ

神がかったようにも見えるAIタクシー。これを実現しているのは、人工知能(AI)である。過去の乗車場所、時間の履歴といったタクシーの運行データ(10-20分前の直近の乗車データも活用)に、気象データ、イベントデータを活用する。もうひとつ肝になるのが、ドコモの「モバイル空間統計」だ。

モバイル空間統計とは、携帯基地局を活用した人口統計のこと。ドコモは個人を特定しない形で、携帯基地局への接続人数を把握しており、夜の都心部の人口が昼間より減るように、時間、場所に応じて増減する統計情報を利用したのだ。

このモバイル空間統計を人工知能に読み取らせることで、どこに人が集まっているのかがわかり、リアルタイムに近い形でどこに行けばタクシー需要があるかを表示してくれる。電車の遅延が発生したり、比較的マイナーなグループのライブイベントなどが行われても、当該の場所のタクシー需要をリアルタイムで表示してくれるというわけである。

●いいこと尽くめのAIタクシー
○すごい実験結果

モバイル空間統計を活用した予測表示は500メートル四方で範囲が広すぎるのではないか、と不安視してしまうが、その結果たるや、なかなかのものである。

予測正解精度は92.9%と高く、駅前や繁華街などの高需要エリアと住宅街などの低需要エリアでの精度が高かったという。

実験では売上にどれだけ貢献するかも検証。2016年11月から12月において、AIタクシーを利用した26人とそうでない10640人の1日の売上結果を比較した。もともと11月から12月にかけて、タクシーの売上は増加傾向にあるが、結果ではAIタクシーを利用した人のほうが売上の伸びが高かったのだ。AIタクシーは、1日当たりの売上が11月比で6,723円増加したのに対し、非利用者は4,500円の増加にとどまったという。

数値上、良好な結果が得られた実証実験。東京無線ではベテランと新人ドライバーの差を大きく埋めるツールとして活用できるなどと見ており、いいこと尽くめのようだ。

使う側のメリットも大きい。今現在でも、スマートフォンからタクシーを手軽に呼べるアプリがあるが、やはり、必要なときに、何の煩わしさも感じずにタクシーに乗れるほうがいい。自分がタクシーに乗りたいときに、すぐそこにタクシーがいる。そんな状況に、テクノロジーの怖さを感じてしまうけれど、ちょっと便利な未来にも期待したい。

ちなみに、ドコモは、2017年度下期の商用化を目指すとしており、スケジュール的には、そう遠くない将来に世の中に提供されそうだ。

(大澤昌弘)