'13年の動物愛護管理法の改正で、飼い主がペットを最後まで責任をもって飼う「終生飼養」が義務づけられた。現在、60〜70代のおよそ3割がペットを飼っている。このうち犬の場合、飼い犬の約4分の1が10歳以上の「高齢犬」という内閣府のデータもある。

つまり高齢者夫婦が老犬、老猫を世話する、いわゆる「老・老・老介護」が新たな社会問題となりつつあるのだ。当然、飼い主の急な入院や認知症などが原因で、行き場をなくすペットも増加。東京都動物愛護相談センターでは、保護される犬や猫の4割が飼い主の死亡や入院が原因だという。

今後、こうしたケースは増え続けるだろうが、飼い主に「もしも」のことがあって、誰かに世話を託したり、老犬ホームに預けるとき、スムーズな引き継ぎを実現させたいのであれば、ペットのプロフィールや生活スタイルを記したものがあれば望ましい。

延命措置や葬儀、相続などについて、自分の希望を書き留めておく「終活ノート」は人々の間で徐々に浸透しつつある。そこで、老犬を預かる施設「老犬本舗」(板橋区)代表の川口美恵さんのアドバイスをもとに、ペットのための「終活ノート」の書き方を紹介。

まず、これがペットに対する自身の考えだということを明確にするため、ノートの上段に「私が、高齢になって介護施設に入ったり、急な入院などで、ペットを誰かに預けたり施設に託すときには、このノートを参考にしてください」と明記する。そして、順に次の項目を書いて行く。

【プロフィール】
名前、年齢、性別、種類、ベスト体重など。

【ヒストリー】
血統書、写真、首輪など飼育備品の保管場所。

【医療情報】
避妊、去勢手術、予防接種、既往症、アレルギー、今かかっている病気。ペット保険の有無。

【ライフ】
食事、散歩、好き嫌いなど。

【遺す言葉】
飼い主の私に万が一のことがあったとき。

そして最後に、必ず書いた年月日と署名を。さらに、自分が先に亡くなった場合の世話や“相続”についても記しておけば万全だ。

「実際、ウチを訪れるときにペットの基本情報をメモ書きにして、渡してくれる飼い主さんが増えています。たとえば、ほかの犬が苦手な子もいます。その情報があれば、ウチのような施設で預かったとき、なるべく散歩を1匹だけですることも検討できます。アレルギーの原因がわかっていれば、その食べ物は避けられます。特に重要なのが、既往症などの病歴です。犬も猫もそうですが、人間同様、高齢になると、次々に病気をするものですから。これらの記述があったおかげで、お預かりしたあとのケアプランを、うちの担当医とスムーズに立てることができました」(川口さん)