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●口呼吸は心疾患リスクを高める!?
呼吸は生物が生きていくうえで必須の行為だ。私たちも毎日、当然のように呼吸をしている。通常であれば、鼻から通じて呼吸をする「鼻呼吸」が自然な形であるが、近年はさまざまな原因によって口呼吸を行う人が増えてきているという。そしてこの口呼吸はさまざまな"弊害"を招くのだ。

今回はM.I.H.O.矯正歯科クリニックの今村美穂医師に「口呼吸のデメリット」について伺った。

○口呼吸になる原因

本来、私たちは鼻からの空気が不十分なときに口から呼吸をする。すなわち口呼吸は鼻呼吸の補填(ほてん)要員的な存在なのだ。ただ、「鼻が詰まっている」「口が閉じにくい」などの状態が続くと、知らず知らずのうちに口呼吸へとシフトし、それが常態化するようになる。そのほか、鼻の病気をきっかけに口呼吸の割合が高まり、「口呼吸のほうが楽だ」と口から空気を出し入れするのが癖になってそのまま定着してしまうパターンなどもある。

○「お口のトラブル」につながる口呼吸

呼吸をする場所が鼻から口になったとしても、一見すると私たちに大した影響を及ぼさないように思える。だが、口呼吸は私たちに実に多くの被害をもたらしているのだ。まずは「お口のトラブル編」を紹介しよう。

口臭がきつくなる……呼吸のために口をぽかんと開けている時間が増えると、その分だけ口腔(こうくう)内が乾燥しやすくなる。そうなると唾液が分泌されづらくなるが、唾液は口の中をきれいにする効果(自浄作用)がある。この唾液による殺菌作用がなくなると、食べかすや細菌のかすで形成される舌苔(ぜったい)が厚くなり、結果として口臭が強くなる。

虫歯や歯周病になりやすくなる……上述の口臭と関連しているが、口腔内に細菌が増えるということは、それだけ虫歯や歯周病になりやすくなる。特に近年、歯周病を患っていると糖尿病や心疾患のリスクが高まると指摘されている。口呼吸が原因で動脈硬化を招く可能性もゼロではないのだ。

●口呼吸の人は風邪をひきやすい
そして、口呼吸は風邪や肺炎といった感染症や睡眠時無呼吸症候群にも関わっている。そのメカニズムを知っておこう。

感染症に罹患しやすい……鼻呼吸を行うと、鼻粘膜にある細かい絨毛(じゅうもう)が空気中にある微細なウイルスや菌などが体内に侵入しないよう、ブロックしてくれる。一方で口呼吸の場合、ウイルスなどがのどを経由し直接体内に入ってしまう。そのため、風邪をひきやすくなったり、気管支炎や肺炎といった呼吸器感染症のリスクが上昇したりする。

低温・低湿度を好むウイルスが繁殖しやすい冬場においては、看過できない口呼吸のデメリットの一つと言えるだろう。特に今村医師は口唇閉鎖不全(歯並びなどの問題で口がうまく閉じれない状態)のために口呼吸になっている人の感染症リスクについて指摘する。

「冬の乾燥している時期や人混み、病院などの感染しやすい場所では、口唇閉鎖ができない人はマスクを必ず着用しないと『天然のマスク』としての口唇が機能しません。そのため、容易にインフルエンザなどの病原菌を口から入れてしまいます」

睡眠時無呼吸症候群に陥る……睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中にいびきと10秒以上の呼吸停止(低呼吸)状態が交互に起こる病気だ。睡眠中の窒息感やあえぎ、日中の激しい眠気や疲労感などの症状も伴う厄介な疾患と言える。寝ている間に口呼吸になっていると、舌が気道のほうに落ち込みいびきをかきやすくなる。舌が気道をふさぐと、睡眠時無呼吸症候群を招きやすいと言われている。

そのほかにも、「乾燥に伴う歯の着色リスク増大」「下あごや口角が下がることによる顔貌(がんぼう)の変化」といった害を被るケースがある。

○口呼吸かどうかを自己診断

普段からよく風邪をひく人は、その原因が口呼吸にあった場合、今後冬場につらい思いをする可能性を低減できるかもしれない。そこで、下記に自分が口呼吸かどうか否かを見分けるためのチェックポイントをまとめた。この中で3項目以上に該当したら、自身の口呼吸を疑ってもいいかもしれない。

■唇がいつも乾いている
■音を立てながら食事をしている
■ふと気がついたときに口が開いていることが多い
■睡眠中のいびきや歯ぎしりを人から指摘される
■自分の口臭が気になるときがある
■起床時に喉の渇きを覚える
■歯のかみ合わせや歯並びが悪い
■人と比べて風邪をひきやすい

「普段からクチャクチャと口を開けて音を出して食事をしたり、口から食べ物をこぼしたりする人は、口を閉じて食事をするなど口唇をなるべく意識的に閉じる習慣をつけましょう。また、歯並びやかみ合わせが悪くて口が閉まらない人は矯正治療をするようにしましょう」

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: 今村美穂(いまむら みほ)

M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長、MIHO歯科予防研究所 代表。表参道デンタルオフィス 矯正歯科。日本歯科大学卒業、日本大学矯正科研修、DMACC大学(米アイオワ州)にて予防歯科プログラム作成のため渡米、研究を行う。1996年にDMACC大学卒業。日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医・専門医。研究内容は歯科予防・口腔機能と形態及び顎関節を含む口腔顔面の機能障害。MOSセミナー(歯科矯正セミナー、MFT口腔筋機能療法セミナー)主宰。

(栗田智久)