13日、台北市郊外を走るお花見ツアーの観光バスが横転し、32人の死者を出す大惨事が起きた。15日付の台湾紙・聯合報は、日本で発生した類似の事故を引き合いに出し、こうした悲劇の遠因は「高齢者の貧困にある」と論じた。写真は事故を報じる現地紙。

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2017年2月13日、台北市郊外を走るお花見ツアーの観光バスが高速道路で横転し、32人の死者を出す大惨事が起きた。15日付の台湾紙・聯合報(電子版)は、日本で発生した類似の事故を引き合いに出し、こうした悲劇の遠因は「高齢者の貧困にある」と論じた。

13日夜、お花見ツアーを終え、台湾中部から台北市に戻る観光バスが、高速道路でカーブを曲がり切れずに横転する事故が発生した。国道で起きた交通事故としては「台湾史上最悪の悲劇」と報じられたこの事故は、乗員・乗客44人のうち32人が死亡、残りの12人が負傷する事態となった。

この惨事は、2016年1月15日未明、長野県軽井沢町で発生した「スキーバス転落事故」を想起させる。事故現場となった一般道は路面凍結などの危険要素は特になかったものの、バスは制限速度の時速50キロを倍近く上回るスピードを出しており、ガードレールを突き破って道路脇に転落。乗員・乗客41人のうち15人が死亡、残りの26人が負傷した。事故車は格安スキーツアーのバスだったこともあり、乗客のほとんどが大学生で、多くの若い命が絶たれたことで大きく報道された。

「下流老人」の著書がある社会活動家・藤田孝典氏は、こうした事故の遠因に「高齢者の貧困がある」と指摘する。前出2件の事故の運転手は、いずれも50〜60歳代だった。経済的な困窮により、深夜の長時間運転など、過酷な就業形態に甘んじざるをえない高齢者が増えている。2012年の統計では、仕事を持つ日本の高齢者のうち、約7割にあたる179万人が非正規労働者だという。

リタイア後の生活が年金受給のみで成り立つ時代ではなくなり、「ブラック労働」の波は高齢者にまで押し寄せている。これは台湾にとって決して対岸の火事ではない。件のお花見ツアーの運転手も労働保険未加入だったと報じられており、非正規労働者だった可能性は低くない。高齢者の貧困問題は、台湾でも近い将来に必ず社会をむしばむ問題となるだろう。実は、台湾の少子高齢化の状況は日本以上に深刻になりつつある。出生率は世界最低で、2025年には超高齢社会(総人口に占める65歳以上の割合が21%超となった状態)に突入するといわれている。(翻訳・編集/愛玉)