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By Vic

大量のデータから反復学習してパターンを見つけ出す「機械学習」がさまざまな分野で活用され始めています。MITの研究者は、機械学習にまったく縁のない医療分野に機械学習を適用することで、治療に役立てる試みを始めています。

Putting data in the hands of doctors | MIT News

http://news.mit.edu/2017/putting-data-in-the-hands-of-doctors-regina-barzilay-0216

MITで電気工学とコンピューターサイエンスについて研究するレジーナ・バージレイ教授は、2014年に乳がんと診断されました。自身の病気の治療に役立つ情報を探そうとしたバージレイ教授でしたが、「データや経験則に基づいて信頼できる」と確信を持てる情報を見つけ出すことができず、治療法を選ぶのに「推測」に頼るしかなかったとのこと。医療分野における情報が圧倒的に足りていないことに気づいたそうです。



コンピューターサイエンスではもはや一般的になった機械学習技術ですが、医療の分野においては手つかずの状態だとのこと。医師は患者を診察して得られた情報を手入力で書き込み、基礎的な統計分析に基づいて相関関係を調べます。しかし、このような手法はバージレイ教授に言わせると原始的な手法だそうです。

アメリカ臨床腫瘍学会によるとアメリカでは毎年170万人が癌と診断されていますが、臨床試験に登録されているのは全体の3%にしか過ぎません。つまり、現在の医学研究では、わずか数%の患者から得られたデータのみに依存している状態というわけです。バージレイ教授は、「癌治療を受けている残りの97%の患者の治療に関する情報を分析する必要がある」と語ります。



バージレイ教授は世に出てこない医療情報に、新しい治療方法やより良い医療行為の可能性が埋もれていると考えており、研究室の学生とともに医療データの掘り起こし作業を始めています。まずは、マサチューセッツ総合病院の乳腺腫瘍学の医師と協力して、癌治療に関する機械学習作業に取り組んでいるとのこと。

バージレイ教授の研究チームは、10万8000件もの癌治療に関する病理学報告書から、自然言語処理ツールを使うことで臨床情報を抽出してデータベースを作っています。なお、データベースの作成における精度は98%と非常に高く、人力では行えないほどの膨大な量の作業をコンピューターを活用して効率的に行っています。さらに、データベース化した情報を機械学習にかけることで、機械学習から推論可能な神経モデルを作ろうと試みています。

また、バージレイ教授は機械学習を予防医学に応用することも試みています。人間の目では解読することが困難な情報が多く含まれるマンモグラフィーにディープラーニング技術を適用して、乳がんにつながる微妙な兆候を探し出そうとしているとのこと。医師の目でも判断できない初期の乳がん患者を発見し、癌を再発しやすい患者を予測することに役立てたいと考えています。



バージレイ教授は、医師や生物学者にデータサイエンティストが協力できることは多く、機械学習などさまざまなデータ分析技術を提供することで、医療を発展させ、多くの患者が恩恵を受けることになるはずだと考えています。