16日、韓国経済新聞によると、LCD10.5世代工場への投資決定ができずにいるサムスンディスプレーをしり目に、中国のBOEとチャイナスター、日本のシャープ、韓国のLGディスプレーなど競合他社が10.5世代工場への投資を開始した資料写真。

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2017年2月16日、韓国経済新聞は、LCD(液晶表示装置)10.5世代工場への投資決定ができずにいるサムスンディスプレーをしり目に、中国のBOEとチャイナスター、日本のシャープ、韓国のLGディスプレーなど競合他社が10.5世代工場への投資を開始したと伝えた。

一般人が国政に介入したとされる崔順実(チェ・スンシル)ゲート事件で揺れるサムスンは、特別検察による捜査などで、昨年11月以来、グループの中枢「未来戦略室」が事実上機能停止に陥っている。「未来戦略室」は時価総額373兆ウォン(16年11月基準、約36兆7000億円)のサムスングループを動かす中核組織だ。歴史的にはサムスン創業者の李秉チョル(イ・ビョンチョル)元会長から始まり、半世紀以上にわたりサムスン総帥の「シンクタンク」の役割を果たしてきた。

これによって影響を受けているのがサムスンディスプレーだ。サムスンディスプレーは、忠清南道牙山に8兆ウォン(約7850億円)以上を投入するLCDの10.5世代(ガラス基板サイズ3370×2940mm)工場建設案を、昨年下半期から積極的に検討してきたが、用地買収が終わった段階で未来戦略室の決定を待っている状態だ。

現在サムスンディスプレーが保有している第8世代の生産ラインは55インチパネルの生産に最適化されており、ガラス基板1枚から55インチパネルを6枚まで作ることができる。しかし、65インチパネルを生産する場合、3枚までしか作ることができず、無駄になる面積も30%を超えてしまう。一方、10.5世代ラインでは、65インチパネルを8枚まで作ることができ、無駄になる面積も10%未満だ。65インチパネルを生産するうえで、価格競争力を確保するためにも10.5世代ラインは必須といえる。

業界関係者によると、2019年には10世代以上のLCD工場稼働が5カ所になる。これによって、65インチ市場が急速に拡大すると、LCDパネルの価格が暴落する恐れがあり、10.5世代ラインの確保が急がれている。このような状況を受け、サムスンディスプレーは、自社工場への投資が進まない中、中国チャイナスターが深セン市に着工した10.5世代工場の株式を10%取得したが、これだけでは十分ではないというのが業界の指摘だ。

韓国経済新聞は、LCDパネルの価格下落は大型テレビの需要増加の可能性もあるが、同時に10年間世界市場1位を守ってきたサムスン電子のテレビ事業の競争力低下につながる可能性もあるとみている。これには、ソニーの事例を挙げており、2000年代初めまでテレビ業界の盟主だったソニーは、LCDテレビが勢いを増すと自社に生産ラインを作らず、2003年にサムスンとの合弁会社「S-LCD」を設立した。ソニーは、サムスンが経営権(50%+1株)を握った「S-LCD」からパネルの供給を受けたが、どうしてもサムスン電子の製造計画に従わざるを得なかった。どのサイズのパネルをどのように生産するか、サムスンが決定したからだ。ソニーは、2006年にサムスンにテレビ業界1位の座を明け渡し、昨年の市場シェアはサムスンの5分の1程度となっている。

この報道に、韓国のネットユーザーからは、「李健煕(イ・ゴンヒ:サムスン電子会長)(2014年より病気療養中)がカムバックする必要があるとでも?」「サムスン首脳部の言い訳に聞こえる」など、サムスン経営陣への不満の声が寄せられた。また、「LGがいるからサムスンがどうなっても大丈夫」「ディスプレーはLGの方が良い」など、LGに期待する声や、「中国の大型パネルへの投資が盛んになっている中、もうこの分野への投資は止めた方がよい」「そもそも技術力のない韓国企業は没落するしかない」など悲観的な声もあった。(翻訳・編集/三田)