ソフトバンク・今宮健太【写真:編集部】

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昨季の107盗塁はリーグ2位、積極的な走塁がV奪還へのテーマに

 走る、走る、走る。その数、実に12個。次々とスタートを切る走者たちに、目を奪われた。

 ソフトバンクが19日に行った紅白戦。初回、右前安打で出塁した今宮健太が決めた盗塁を手始めに「盗塁ショー」が幕を開けた。中村晃、明石健志、上林誠知、牧原大成、福田秀平、本多雄一、川島慶三、釜元豪、甲斐拓也が1つずつ。今宮は3回2死一、三塁から明石と重盗を決めるなど、3つの盗塁を決めた。両軍で、なんと12盗塁も決めた。

「今日のテーマ。今年はどんどん走ろうと。(投球が)ワンバウンドしたら走ろうと、な。(今日は)3球以内に走ろうと」というのは、今季からチームに加わった達川光男ヘッドコーチだ。昨季のソフトバンクの107盗塁はリーグ2位の数字。逆転での優勝を許した宿敵・日本ハムは12球団トップの132盗塁を決めている。積極的な走塁は、打倒・日本ハムのために掲げる今季の狙いなのだ。

スタートを切る意識を浸透、盗塁増で得点力アップへ

 この日は、盗塁を許したバッテリーを責めるなかれ。達川ヘッドはこう言う。「(紅白)両チームに(3球以内にと)言ってある。(それを知っていて)ウエストしたら、アウトになる。バッテリーは打者を打ち取る感じにやろう、としていた」。あくまでも、バッテリーは打者を第一にしており、厳しく警戒はしていなかった。

 狙いは、意識付けだろう。昨季は柳田と本多の23盗塁がチーム最多。これに続くのは、福田と城所の11個だった。今宮や中村晃といったチームの中核の選手、上林、真砂といった期待の若手たちが、より一層、盗塁を増やすことができれば、自ずと得点力はアップするはずだ。

 かつて5度の盗塁王に輝いた赤星憲広氏は盗塁の極意を「アウトを恐れず、スタートを切る勇気」としている。まずは、スタートを切る意識をチーム全体に浸透させようとしているのだろう。

 ソフトバンクの目指す「走塁改革」。V奪還のための、1つのテーマとなりそうだ。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani