東京オートサロン2017に、会場の雰囲気に似合わない軽トラックのカスタムカーが展示されていたのを覚えていますか。それがN.Lab(エヌラボ)が出展したT800です。

このT800は単にショーのために作られたモデルではなく走行性能にもこだわって作ったモデルということで、実際に試乗できました。

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N.Labというのはホンダ車の純正アクセサリーメーカーであるホンダアクセス従業員の有志による自発的な活動です。参加する従業員の業務領域を超えてデザインやモデル制作に参加し、モノづくりに対する理解を深めるとともに、ユーザーとのコミュニケーションを行うことで、今後のモノ作りへのモチベーション高めていこうとしています。

T880は軽自動車のアクティトラックをベースに「働くクルマはカッコイイ」をコンセプトにカスタマイズされたモデル。商用車のカスタマイズはこれまでありそうでなかった新提案と言えるでしょう。

T880のカスタマイズのポイントはボディでは-150mmのチョップドルーフを行うとともに全幅はオーバーフェンダーを装着し+130mmのワイド化を行っています。全長は変わらないもののピラーを立て、愛嬌のあるフロントマスクを採用することでカッコカワイイを目指してデザインされています。

搭載するエンジンは、車名にある880ccの過給器エンジンのようなパワーを求めて、アクティのエンジンをベースにバモスのクランクやピストン。そしてバモス用のターボを装着しています。ミッションはビート用の5MTを組み合わせることで、ストレスのない加速の実現やロングツーリングも可能としました。

ブレーキはリアをディスク化するなど細部にもこだわりを感じます。ヘッドライトやマフラーなどは市販品を流用。リアの荷台はあおり機能を廃止しているものの、リアゲートは左右開きを採用し、オートバイを積載する際にフロントタイヤが収まる凹みを設置するなど、各所にこだわりが散りばめられています。

試乗は本庄サーキットで行いました。普通の軽トラックは、ギア比の関係で1速だとあまり加速しないうちにすぐに吹けきってしまいます。そしてギアチェンジしても車内に侵入するエンジン音ほど加速してくれないという印象が強いです。

しかし、このT880はターボエンジンの効果もあり、それほどアクセルを踏み込まなくてもスッと加速していきます。サーキットでの試乗会とはいえ、軽トラックの走行するシーンを想定し、時速30km〜50kmで走行しました。

コーナーの進入で減速しても、立ち上がりではエンジンが唸ることなくスッと時速50kmまで加速してくれます。エンジンの回転数を見ても高速道路の巡行もこなしてくれる余裕を感じました。

軽トラックというと荷物をたくさん積むという機能性が走行性能よりも重視されがちです。しかしこのT880は軽トラックに求められる機能性に高い機能性をプラスした通勤快速トラックと呼べる存在です。

このT880がもし市販されたとしたら、もっとワクワクしながら仕事に行けるはずと確信しました。今後、商用車でもこのようなワクワクできるカスタマイズが登場すると、クルマのカスタムが文化として定着できるのではないかと思いました。

(萩原文博)

ありそうでなかった商用車カスタムの新提案、N.Lab・T880に試乗!(http://clicccar.com/2017/02/19/447002/)