卵はむしろ積極的に摂るのが良いらしい!?

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 ここ数十年で、「卵」に対する科学の立場は大きく変わってきました。

 卵のコレステロールが心疾患を引き起こすと考えられたのはもはや昔の話。2010年代に入ってからは「卵を食べても心疾患にはならない」と結論づけるメタ分析が多く発表され、2015年にはついにアメリカの食品ガイドラインから高コレステロール食への警告が消えました(1,2)。晴れて卵は無罪となったわけです。

 卵の躍進はまだ終わりません。ここ2〜3年はさらに知識のアップデートが進み、逆に卵は1日に3個ぐらい食べたほうが体に良いとの考え方まで出てきたのです。

 代表的なのは、2017年にコネチカット大学が発表した論文(3)。 18〜30才の健康な男女40人を対象に、卵の効果をチェックした研究です。

 実験は以下のデザインで進められました。

1.最初の2週間は卵をまったく食べない
2.次の4週間は卵を1日1個ずつ食べる
3.次の4週間は卵を1日2個に増やす
4.最後の4週間は卵を1日3個に増やす

 卵を増やした以外、特に生活に変化はくわえていません。特に運動も指示しておらず、シンプルに普段の暮らしに卵を増やしたらどうなるかを調べたわけですね。

◆カラダに良い結果が次々と!

 そして14週間後、参加者のカラダには様々な良い変化が起きていました。

 第一のメリットは、コレステロールのサイズが大きく変わった点です。卵を1日3個ずつ食べた参加者は、粒子が大きいコレステロールの量が、LDLが21〜37%、HDLは6〜13%も増えていました。

「サイズ」という表現が耳慣れないかもしれませんが、これはコレステロールを構成するリポタンパク粒子の大きさを意味します。ここ十数年の研究により、コレステロールは量とサイズの両方が重要なことがわかってきたのです。

 例えば2013年にカナダで行われた観察研究によれば、LDLコレステロールのサイズが小さい人は、心疾患の確率が3倍も高かったそうです(4)。ひとくちに“悪玉コレステロール”といっても、サイズが大きければ血管壁にこびりつきにくくなるんですね。

 さらに、もうひとつ確認されたのが、コレステロールの流出能の改善です。これはHDLの性能を表す言葉で、過去のデータからも、コレステロール流出能が上がるほど心臓発作にかかりにくくなることがわかっています(5)。簡単に言えば、善玉コレステロールの性能がアップし、血管にこびりついたプラークを取り除きやすくなったわけです。

 そして最後のメリットが、血中の酸化物質の増加です。卵を1日に3個ずつ食べた参加者は、血中のルテインやゼアスタキサンチンといった物質が、およそ20〜31%の範囲で増えているのが確認されました。

 いずれもカロテノイドと呼ばれる天然色素の一種で、強い抗酸化作用を持った物質。その全体像はまだよくわかっていませんが、近年の実験などでは高齢者の脳を若く保つ作用が示唆されています(6)。まだまだデータの積み重ねは必要ですが、アンチエイジングに役立つ可能性は高そうです。

◆ただし、いきなり増やすのは避けたほうがいい

 また、この実験でうれしいのが、1日に3個の卵を食べても、血圧や中性脂肪といった数値の悪化が見れなかったところ。コレステロールの性能が上がっただけで、副作用はゼロだったのです。

 この結果に対し、研究者は言います。

「1日1個の卵でも、HDLコレステロールの機能は十分にアップするし、粒子が大きいLDLコレステロールの量も増える。しかし、卵の量を1日に2〜3個に増やせば、さらなるHDLコレステロールの向上と、血中カロテノイドの増加が期待できるのだ」

 もちろん、ひとつの実験だけで判断するのは早計ですし、遺伝的に食事のコレステロールの影響を受けやすい人も存在します。また、現時点で糖尿病を患っている方や卵アレルギーの方なども、いきなり卵を増やすのは止めておいたほうがいいでしょう。