桐谷健太が語る『彼らが本気で編むときは、』:「大丈夫、キレイやでと声をかけていました」

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トランスジェンダーの介護士・リンコ(生田斗真)と恋人の書店員・マキオ(桐谷健太)、マキオの姪っ子・トモ(柿原りんか)。トモの母親の失踪をきっかけに始まった3人の疑似家族の日々を、『かもめ食堂』などで知られる荻上直子監督が柔らかいタッチで描き出した『彼らが本気で編むときは、』。

荻上監督は、アメリカ在住時代には当たり前のように周りにいたLGBTの人々が、日本に戻ると少なくなることに違和感を覚えていた。同じ割合で、日本にもいるはずなのにと。そして、この作品を撮った。

本作では、3人は普通の家族として存在している。しかし一歩外に出ると、リンコは偏見の目で見られてしまう。その状況に、悔しさを噛みしめる小学生のトモ。この1本の映画は、LGBTの人々への視線が変わるきっかけとなる1つの波かもしれないと思った。

リンコの恋人であり、トモの叔父というキーマン的存在・マキオを演じた桐谷健太に、話を聞いた。


C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

―深い愛でリンコとトモを見守るマキオという役どころと、どうやって向き合っていったのでしょう?

基本的に僕は、お芝居は自分以上のことはできないと思っています。だからこそ、自分を超えていくことが大事だと常々思っていて。今回のマキオという役の場合は、佇まいやセリフをあからさまに優しいテイストでやってしまうと、押しつけがましいものになるなと感じていました。自分の中から出てくるものを使わないと、血が通わないものになってしまうと。

僕は大阪から上京してきた時に、ダンスクラブで遊ぶヌ襪離ラブ活動イ鬚靴討い泙靴董幣弌法△修海妊殴い諒々とたくさん知り合ったんですね。その人達からモデル事務所を紹介してもらったことがこの世界への入口でしたし、いまだに仲がいいんです。昔からの友達の中には、戸籍を女性に変えて性別適合手術が終わった人もいます。だから違和感がないというか、セクシュアル・マイノリティの友達がいることが当たり前の日常だったんです。


(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

今回、マキオを演じるにあたってその友達に電話して、イ茲ったら教えてくれへん?イ函⊃感や取り巻く環境を聞きました。そしてゥ螢鵐海鳩觝Г靴茲Δ箸垢襯泪オの行動は、日本ではすごく覚悟のいることだイ閥気┐討發蕕辰燭鵑任垢諭マキオは男らしい男だし、人の痛みを知っている。そして自分の想いに率直。そこを自分の中で構築していったところはあります。

―全体的に春の光に包まれているような、柔らかくて温かい作品だと思いますが、桐谷さん自身の中で思い入れの強いシーンは?

リンコとトモと3人で、海に行ったシーンかな。3人にとってはタ靴燭弊験茲始まるイ反じる象徴のシーンなので、その場所には海が一番合うような気がしました。天気がすごくよくて、撮影自体もとても気持ちよくできました。

僕のクランクインは、トモと一緒に河川敷を歩くシーンだったんですが、監督からイ舛腓辰半亟蕕多すぎますイ髪藹个気譴董イ◆俺は優しい人を演じようとしていたんやなイ筏い鼎されました。もっと何も考えずにマキオでいようと思いましたね。監督から演出として直接指示されたのは、この時くらいです。それ以外はゲ燭が違うので、もう1回お願いしますイ噺世錣譴董6饌療に言えないところに監督の人間らしさが出ていて、演者の僕らもスッと腑に落ちる感覚がありました。


荻上直子監督 (C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

リンコとのキスシーンは、僕からやりたいと言いました。ゥ轡船絅─璽轡腑鹽にキスがないのは、逆に違和感ないですかイ函E与燭箸楼柄亜∋纏の打ち上げでキスしたことがあったので、初めてではなかったです(笑)。

―生田さんはトランスジェンダーのリンコを演じていますが、彼のソ性性イ呂匹Ωえましたか?

斗真はもともと男っぽいんですけど、イ海海賄椶襪世蹐イ箸い状況でも笑顔で返事をしたり、すごく穏やかで優しいんです。見習わなきゃアカンなと思うくらい(笑)。これが女性性なのかはわかりませんけど、受け身の美学を彼は持っている感じがします。カメラが回っていないところでも、斗真にヂ臂翩廖▲レイやでイ箸茲声をかけていましたしね。士気を高めるつもりじゃなく、普通に声をかける感じでした。


(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

今回は自分のことよりヅ与燭美しく見えたらイ反瓦ら思って現場にいました。自分でもびっくりです。これまでの僕は前に出ようという部分も多かったし、特に20代の頃なんかはッよりも自分が目立ってやる、番手は後ろでも一番インパクトに残ればいい、主役は俺だ!イ箸いΦせちがあったんですね。作品にとってもいいことだと思っていたからそうしていたんですけど、今回は斗真を支えたい、美しく見えるお手伝いがしたいって思えたし、そこがマキオとリンクしたのかなと。この作品の中でイ箸砲く俺が目立ってやろうイ箸覆辰討い燭蕁△修了点でもうマキオじゃないですからね。

そういう意味でも、この作品は僕にとってターニングポイントならぬゥ粥璽ぅ鵐哀櫂ぅ鵐琵イ任后ターンじゃなく、前に進んでいるので。

―完成作品をご覧になっての感想は?

めっちゃよかったです!イ呂ぁ△海海泣きポイントです、どうぞ!イ澆燭い扮藹个犬磴覆、イお、ここで泣いてしまったイ伐薪戮癲トモがリンコを思ってやった行為を見ただけで泣けたりと、不思議な感覚でした。

自分が出ていたのに、客観的に見ることができたのも僕の中では珍しいことで。以前のスタンスだと、完成作品を観てイ△△叩△△離掘璽鵑カットされたんだ!イ箸、いろいろ思ってしまうんですよね。でもそれは、作品のことも考えているけど、ある種自分のことしか考えていなかったからなんでしょう。今回はそういう気持ちがなかったから、自然に僕をマキオとして見ることができたし、観客目線で見ていい映画でした。


(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

―この作品をきっかけに、LGBTに対する考え方が変わる人もいるのではないかと思います。個人として、まずは何ができるとお考えですか?

前にニューヨークにに行って気づいたのは、みんなそれぞれ好きな服を着ているんですよね。日本って、街を行く人たちの服装の色合いや形が、なんとなく似ているじゃないですか。ニューヨークではマジでバラバラだから、バスローブに長ズボンで外にいても気にならなかった。誰も何も言わないし、変な目で見ない。みんな違うから、自分がどんな格好をしていてもいい。それで、いいと思うんですよね。人にゥ瀬汽イ噺世ι要もないし。

日本だと、コンビニに行くにしてもちゃんとした服を着る。それも大事な身だしなみだけど、ゼ分がしたい格好をするイ箸呂泙唇磴Υ蕎陲任垢茲諭LGBTに対する問題も、ちょっと似ていると思うんです。自分が人の目を気にしすぎているから、他人に対しても厳しくなる。人の目を気にせず生きていく人が増えてきたら、ゼ造呂海Δ靴燭ってんイ反兇詆颪┐訖佑増えると思うんです。両者、考えを変えることが大事やと思うんですよね。


(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

認める認めないじゃなくて、いろんな人がいて、それぞれの生き方があるってだけなんですよね。だからできるだけ気にせず自分を出していく。そして周囲の人間はタ佑楼磴辰禿たり前イ箸いΔ海箸亡悗靴董△發Δ舛腓辰箸罎襪していく。もっとみんな、気楽でええんちゃうかなと思うんですよね。気楽にいこうぜ、という感じかな。

KENTA KIRITANI
桐谷健太 1980年2月4日、大阪府生まれ。2002年、ドラマ『九龍で会いましょう』で役者デビュー。2003年、『ゲロッパ!』で映画初出演。2007年、『GROW 愚郎』の村上敦役で映画初主演を果たす。2011年、第35回エランドール賞新人賞を受賞。2015年度CMタレント好感度ランキング男性部門で1位を獲得。2017年1月25日、アルバム『香音-KANON-』Special Editionをリリース。

『彼らが本気で編むときは、』
脚本・監督/荻上直子
出演/生田斗真、桐谷健太、柿原りんかほか
2月25日(土)より、全国ロードショー
http://kareamu.com/