痔かと思ったら大腸がん!? 見逃しがちな病気のサイン

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 あなたが最後に健康診断を受けたのはいつだろうか。企業の正社員なら毎年必ず受けているケースが多いが、非正規社員やフリーランスの人なら、「ここ数年受けていない」「学生の時以来、受けていない」という人がほとんどだろう。

 総務省の2016年平均の労働力調査によると、役員を除く雇用者における非正規雇用の割合は37.5%。つまり、働く大人の約40%が定期的に健康診断を受けていない可能性があるのだ。若いうちならまだしも、30代半ばを越えても自分の健康をチェックする機会がないのは、将来の大病を招きかねない。

◆病気が進行する前に“予兆”を知ろう

「30〜40代は働き盛りだからこそ、どうしても病気を軽視しがち。『自分は違う』という否定こそが、知らず知らずに病気を進行させてしまいます。たとえば血圧が高くても放置してしまう人、忙しいが口癖で検査をしない人など。病気は決して他人事ではないんです」とは、患者の立場で医師に取材をしている医療ジャーナリストの市川純子氏。

 例えば大腸がんの予兆は、ひどい便秘と残便感、吐き気、血便などがある。

「痔の出血と他の病気による出血はパッと見ではほとんど同じ。そのため、切れ痔と勘違いした方は病院に行かないことが多いんです」

 さらに、同じがんでも肺がんは別の部位にサインが出るというから知っておきたい。

◆老化と勘違いしやすい

「肺がんを患うと、咳の症状以外に二の腕に痛みが走ることがあります。肺と二の腕の神経がつながっていることが痛みの原因です。一見関係のない部位が痛むことを指す“放散痛”は、見逃せないサインのひとつです。腕が痛むからといって『ちょっと早い四十肩かな?』なんて思わず、早めにお医者さんに行ってください」

 加齢など、体の変化に隠れがちな病のサイン。見逃さないようにするにはどうすればいいのか。

「がんの種類によっては、採血でがん発生の可能性を探る腫瘍マーカー検査が、比較的手軽にできるのでおすすめです。億劫がらずに、検査してみてください」

 そのほかの病気も自分の体と向き合い、サインを見逃さないことが大事。ただ、大きな病気の治療は早期発見がカギといわれる一方で、たとえがんを早期発見できなかったとしても気に病みすぎるのは禁物だ。

「さまざまなドクターや患者さんに話を聞くなかで、本人の前向きな気持ちが治療のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)と関わっていることを実感しています。『この治療でがんが治る!』と言い聞かせていたら抗がん剤の副作用が少なかったという報告は多く聞かれます。病気を特定できたら医師や周囲の人と一緒に話し合いながら治療をしていくことが大切です」

 亡くなる人が多い病気を宣告されたからといって、慌てるだけではなく、その病気とどのように向き合っていくかが延命につながるそう。

◆30〜40代に起こりがちな病気の予兆

●大腸がん 予兆:血便が出る
便に血が混ざる大腸がんや胃かいようの症状は「痔」のそれと酷似しているため、勘違いする人が多い。便に血が混じっていたら、消化器内科に相談しよう。近所の内科でもOK。40歳を過ぎたら一度、内視鏡検査へ

●肺がん 予兆:二の腕が痛い
二の腕と肺は神経がつながっているため、肺がんによる痛みが二の腕に出る場合もある。動かしたりすると痛む四十肩ではなく、二の腕全体にだるい痛みを伴う場合は整形外科を受診、咳の症状があるならば呼吸器内科へ。

●糖尿病 予兆:喉の渇き、目のかすみ
喉が渇き、目がかすむ。頻尿と疲労感、食べているのに体重が減るのは糖尿病の主なサイン。老眼のはじまりと勘違いして眼科に行き、糖尿病が発覚するケースも。血液検査ですぐわかるとのこと。

●肝硬変 予兆:首に赤いアザ
肝機能が低下する肝硬変。顔色が浅黒くなり透明感がなくなるのが特徴。さらに、肌荒れもひどくなって、どこにもぶつけてもいないのに首に赤いアザができたら病院へ。

●脳動脈瘤 予兆:顔が左右非対称
脳の動脈の一部がコブ状に拡張し、破裂すればクモ膜下出血を起こす脳動脈瘤。脳動脈瘤が、動眼神経を圧迫すると、まぶたが下がってくることがある。左目と右目の非対称なたるみがあったら脳外科へ。

【医療ジャーナリスト 市川純子氏】
PR会社「J&Tプランニング」代表。ヘルスケアのビジネスをサポート。著書に『危険な病気の意外な予兆69』(宝島社)などがある

―30〜40代、他人事じゃない「早死にリスク」【5】―