17歳のニューヒロイン・三原舞依さんが煌めいた夜、美しい編集の録画を見守る虚しさに四千字ほど愚痴を言いますの巻。
シンデレラが0時までに帰れるのか、答え合わせは録画で2時間後に!

愚痴からです。テレビ局にもいろいろ事情はあるのでしょう。商売は何もかもが理想どおりにはならないということはわかります。ただ、そんなことをしても誰も得しないぞ、とは言っておきたい。

フィギュアスケート四大陸選手権、日本の三原舞依さんが日本女子4人目のトータル200点超えを記録して優勝しました。浅田、安藤、宮原、そして三原。ビッグネームに連なる新星が人生を変える瞬間を迎えていました。

その瞬間、フジテレビはその試合を中継していたのです。しかし、まさに同時進行で煌めきの瞬間が始まっていたときに、テレビは録画を流していたのです。木曜と金曜にはやっていたのだから技術的にはできるはずのライブ中継をせずに、録画を流していたのです。

こういう対応を見ると、DAZNやスポナビライブといった有料スポーツ中継サービスは、未来の勝者になるなと感じずにはいられません。勝負にはいくつかの段階がありますが、スポーツ中継において入口の大前提となるのは「生」です。

スポーツなんて、やることはいつも一緒なんです。違うのは結果という名の未来なんです。未来がいつも一緒なら、映画のように録画でもいいのかもしれませんが、未来だけが毎回違うのです。それがどうなるのか立ち会うことが何よりも楽しみであるのに、それを台無しにしてしまっている。権利と設備を持っている「できるはず」の人たちが。

タダで映る番組だろうが、どれだけ画質がよかろうが、録画が可能だろうが、実況・解説が上質だろうが、「生」と「録画」の上下関係を引っくり返すようなチカラはありません。ふたつ選択肢があるなら、中国語でやっている録画不能の有料クソ画質ストリーミングを選びます。そっちだけが「生」であるならば。

一番金が取れる要素で金を取るサービスと、生活時間だとか自分たちの都合だとかでそこをオジャンにしているサービスとで、どっちが勝つかは考えるまでもない。獲れたての魚があって、目の前に腹を空かせた客がいるのに、干物にしてから出すなんてバカげているでしょう。テキトーに切って出すだけで、よっぽどありがたがって食べるのに。

刺身を食うか食わないかは、客に決めさせてほしい。ピッチピチのヤツが獲れたときは、特にそう思うのです。

ということで、ニューヒロイン誕生の瞬間を、18日のフジテレビによる「フィギュアスケート四大陸選手権 女子シングルフリー」の録画からチェックしていきましょう。


◆彼女が優勝を決めた頃、テレビは「逆転優勝!?」と煽った!


とりたてて時差もないお隣・韓国での試合。権利をガッチリとおさえたフジテレビは、プライムタイムの21時からその試合を映し始めました。タイムラインにはチラチラっと見える「まいちゃーん!」などのザワつき。「おっ、そこから映せばちょうどええやん!」という僕の画期的思いつきは、どうやら不採用だった模様。フジテレビは「改めまして最初のほうからやりますね!」と万全の編集でお送りする録画中継を開始しました。うーむ。

有力どころを紹介しつつ、日本勢を追いかけていく中継。樋口新葉さんはフリップやサルコウの抜け、ダブルアクセルでの回転不足とSPにつづき氷とエッジとの噛み合わせに苦しんでいました。クライ&クライで涙を流す姿に、慰めの念を送ったものの「お客様が送られた念は、念が届かない場所にいるか、電源が入っていないためお届けすることができませんでした」という天からの報せが。そうか、録画だったな。念じた頃にはもう泣き終わっていました。

↓今日泣いておけば、五輪では泣かずに済むかもしれないぞ!ガンバレ!


よかったね、ここに1回きておけて!

五輪でいきなり同じ感じになってたら泣くに泣けないから!

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感想(1件)



21時40分頃、テレビでは三原さんのインタビューが流れていました。「小さい頃からフィギュアスケートのTVを地上波で見ていた」とうれしいことを言ってくれる三原さんに、フジテレビ中継陣も意気に感じたことでしょう。もしかしたら数年後には「小さい頃からCCTVのライストを見ていました!」「いつもロシアのサイトで見ています!」「常に串を刺してます!」なんて選手が出てくるかもしれんな…底意地の悪い僕はそんなことを想います。

同じ頃、SNSのタイムラインには「まいちゃーーーーん!!!!」などのさらなるザワつきが。「もうタイムラインを見てはいけない」と結果を悟りながら見守る録画には日本の本郷理華さんが。出番はナイと思っていたところに急にふってわいた代打出場での今大会。全体的に調整不足感は否めません。トリプルルッツでは派手に転倒して、壁に身体を打ちつける場面も。

盛り上がること確実のフリープログラム・リバーダンスも、動きのキレ、メリハリ、音ハメ、いろいろなところで「もっとできるだろ!」と思わずにはいられない動きです。期待感が大きいだけに、もったいないという残念さも大きくなっていく。それでも、ここにきたことには意味があるはず。世界選手権2度出場の実績は、本来なら「自分用の五輪の枠を自分で獲ってくる」ようでなくてはいけないもの。ここにもう一度くるのだという気持ちを、持ち帰ってほしい。まだできる、もっとできる。

↓雰囲気はすごくよかったのが収穫ですかね!

よし、春は身体鍛えよう!土台からだ!

スピードとキレがあれば、ネタはもっと光る!

やがて録画は最終グループの戦いへと向かい、グッと盛り上がっていきます。「日本のシンデレラ、逆転優勝へ挑む」という字幕を凝視しながら、タイムラインを流れていく「知ってる」などの文字を心から追い出すのが大変です。「逆転優勝も夢じゃない!」という字幕を凝視しながら、「逆転優勝!」などの文字を心から追い出すのが大変です。

最終グループの1番手はアメリカの長洲未来さん。背中にはテーピングが見えたりもしますが、まったくそうした諸事情は感じさせない演技。3回転+3回転のコンボも、3連続ジャンプも、パールスピンが評判となった頃を思い返すようなレイバックスピンも、どれもが美しい。長い長い長い苦難の時間をはさんでからのパーソナルベスト更新。ドラマだなと思います。人生だなと思います。報われるまで頑張るって、素晴らしい!

↓長洲さんは最終的に銅メダルを獲得するいい大会になりました!

おめでとう!よかったよ!

まだまだできる!

さぁ、そしてやってきました三原舞依さん。もう何かがココで起きることは薄々わかっています。シンデレラの歌声に合わせて滑り出した三原さんは、冒頭の3回転+3回転を鮮やかに決めます。ジャンプはとにかくまったく不安のないデキで、加点をもらえる質の高さ。スピンでもレベルと加点をしっかりと取り、とにかく「何が苦手」とか「コレができない」というところがありません。そして何よりも、テレビで見ていてもものすごく速い!王子様が追いつく気をなくすくらいのスピードでリンクを爆走していきます。

演目が「シンデレラ」なのでついついシンデレラストーリーと言いたくなりますが、寓話のままだとちょっとニュアンスが違うでしょう。魔法使いが助けてくれたのではなく、自分で馬車とドレスとスケート靴を用意して舞踏会を訪れ、ダンスの腕前で王子様を魅了したセルフサービスのシンデレラがそこにはいました。

この大会で三原さんが積み上げた基礎点62.52点は、今大会のトップであることはもちろん、欧州選手権でメドベージェワらロシア勢が記録した基礎点よりも上をいくもの。演技全体の構成や、技の出来栄えによって差をつけられてはいるものの、「土台」は世界トップと同じ高さまできています。たまたまではない、確かな理由があるシンデレラストーリー。1年後、もっと大きな舞踏会に物語はつながっているはずです。

↓誰が教えたこの動き!お兄さんのハートをえぐるクルクルガッツポーズ!


たくさんの愛娘が卒業していって、お兄さん寂しかったけど、また頑張れそうな気がしてきた!

やっぱりお兄さん、若い娘が好き!

↓会場では「できた」の日の丸が揺れる!

新世代には「できる」という言葉はない!

できると思ったときにはもうやっている!

↓あと、ホントどうでもいいことで恐縮ですけど、さっきのポーズが何かに似てるなーと思ってたんですが、コレでした!

そうか、ちょっと懐かしい系の動きなんだな!

お兄さんの時代のアイドルって、こんなんだったわ!

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そんな三原さんの演技が終わった頃、NHKのサタデースポーツでは三原さんの優勝を告げるニュースが流れていました。なるほど、そりゃあ流れるでしょうな、ニュースなんだから。せっかく枠と権利をおさえて、機材と人員を現地に持っていって、この感動をあるべき姿で届けられなかった。中継しているほうも残念でしょうが、見ているコチラも残念で仕方ない。

優勝を争う選手が登場してきても、ハラハラやドキドキではなく「どこかでコケるんやろうな…」と思って見てしまうことのもったいなさ。まぁ、カナダのオズモンドが3回転倒するとかはさすがに想定外でしたが。これを21時からライブで見守ることができたなら、その後の振り返りや「表彰式が始まるまでの待機時間」というのも満足して味わえたのではないかと思います。

ボクシングなどでは「ダブルタイトルマッチのメインのほうの始まりに合わせてライブ中継を始めて、メインが終わったあとでセミのタイトルマッチを駆け足で流す」という時間逆転の中継もあったりします。枠と機材と権利があるなら、何とでもなるのです。

たぶん世界で一番熱量高い日本のファンだけが、その熱量の高さゆえに一番つまらないことになっているという現状をどうにかしてほしい。日本の新星が誕生した瞬間を見せ損ねるんじゃ、競技にもファンにも中継にも、何にもイイことがないですからね。表彰式の様子も、金メダルをもらうところはカットして、キム・ヨナから花束をもらうところは残すなんて、何かそれは順番が違うんじゃないかと突っ込まずにはいられないですからね。

↓惜しいな!放送時間内にウィニング滑走してるのに10秒くらいしか映らないなんて!

「ここまで録画でお送りしておりましたが」
「現地では大変なことになっているようです」
「急遽、ライブ中継に切り替えてお届けします」
「日本の三原舞依が日本女子4人目の200点超え」
「現時点でトップに立っています!」
「まずは三原選手の演技をご覧いただきまして」
「最終グループの途中からライブでお送りします!」

昔のバレーボール中継ではこんな感じでやってたじゃない!

頑張れテレビ!

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なお、今夜の男子シングルは徹頭徹尾完全録画中継でお届けします!